2002 Fiscal Year Annual Research Report
カオス的同期現象を利用した秘匿通信方式に適した新しい変復調技術の開発
Project/Area Number |
14750300
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
白濱 弘幸 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (60275427)
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Keywords | カオス / 秘匿通信 / カオス的同期現象 / 変調 / 電子回路 |
Research Abstract |
本研究はカオスを用いた秘匿通信に適した変調方式を開発することを主たる目的として遂行されている.本年度は,(1)変調方式を決定するためのプリント基板実験,(2)システム設計に関する机上検討を行っている. (1)の実験では,AM変調を用いることを想定して,クオモ等の提案した従来型と本研究で提案する新型のカオス通信方式の安定性に関する検討が行われた.この検討結果より,新型カオス通信方式はAM変調下で従来型のものに比し安定であることが確認された.この結果を参考にして,本研究ではAM変調を基本としたカオス通信方式を開発する方針を立てた.また,この過程で新型の通信方式では,1つのシステムで複数のセッションが確立できる事が明らかとなった.これは,情報の高密度化に寄与できる事を示唆する結果である. (2)の検討では,シミュレーションだけでなく実験も行い,伝送遅延時間と安定性に関する解析が行われている.現在までに,遅れ時間はカオス同期に深刻な影響を与えるものの適切な回路形式と回路パラメータの設定によりカオス通信が可能であることが明らかとなった.しかしながら,伝送遅延時間がある通信システムでは遅れ時間の影響でSN比の劣化がおきるために,これを抑制するフィルタが必要である.現在これを開発中である.また,この過程での新しい成果として,選択的なカオス通信に利用できるあたらしいカオス的協調現象を実験により確認し,統計的手法を用いてその発生のメカニズムを明らかにした事が挙げられる.この成果はより秘匿度の高いカオス通信方式を開発できる可能性を示唆している.
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