2002 Fiscal Year Annual Research Report
伝送線路で結合したカオス発生回路において発生する現象とその応用に関する研究
Project/Area Number |
14750321
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
河田 淳治 徳島文理大学, 工学部, 講師 (00248329)
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Keywords | カオス発生回路 / カオス同期 / 伝送線路 / 遅延 / 特性インピーダンス / ディレイライン |
Research Abstract |
これまでに報告者が行った研究により、Chua回路と呼ばれるカオス発生回路を伝送線路で結合したシステムにおいては、同期中であっても伝送線路上の電流が絶えず変化し続けているという興味深い結果が得られていた。しかし、これはCPUのクロック周波数が700MHz程度のシステムにおいて1日程度のシミュレーションを行った場合の結果であった。今回、クロック周波数2GHzクラスのコンピュータ上で2日間以上にわたる数値実験を行った結果、どの結合形態においても線路上の電圧分布は次第に一定となる、すなわち電流は次第に流れなくなるという事が分かった。したがって、これまで定常状態で発生していると考えていた現象は実は過渡現象に過ぎなかった、すなわち伝送線路で結合したシステムにおいても、抵抗結合の場合と同様に同期中は線路上を電流が流れなくなるという事が今回の調査で明らかとなった。 次に、伝送線路の特性インピーダンスの影響を調べるために、伝搬方向の異なる、整合を取った一方向結合のパスを2つ(左→右にのみ信号が流れるパスとその逆方向のパス)用いて結合したシステムについて、コンピュータシミュレーションにより、どのような現象が発生するかを調査した。しかしながら、どのように結合した場合においても、カオス回路の発振は停止してしまった。また、伝送線路としてディレイラインを使用し、回路実験も行ったが、同様の結果が得られた。このことから、特性インピーダンスが伝送線路結合によるカオス同期に深く関わっていることが分かった。おそらく、伝送線路の線路パラメータを変化させることによりカオス回路の見かけ上のインピーダンスが変化し、その結果分岐を生じているのではないかと考えられる。これについては、伝送線路を集中定数等価回路で置換し、調査を行う予定である。
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