2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの把持運動計画における最適化規範と対象物の脳内表現に関する計算論的研究
Project/Area Number |
14750347
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
福田 浩士 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20335102)
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Keywords | 多指把持運動 / 最適化モデル / 逆最適化 / 計算論的神経科学 |
Research Abstract |
ヒトの把持運動における計算問題である,把持位置の決定,指先力の決定,手形状の決定の関係を調べるための実験システムを構築した.設計・作製したひずみゲージ式小型3軸力センサの精度は負荷力の5%未満に押さえることができ,把持運動における指先力計測に十分なものであった.心理物理実験では,拇指,示指,中指による物体保持タスクにおける指先力を計測した.その結果,被験者が自然に選んだ把持位置において総把持力が最も小さくなり,その把持位置から遠ざかるにつれて総把持力が大きくなることがわかった.また,拇指と対向する示指と中指の位置が物体の質量中心に対して対称である把持位置においてもその分配が等しくならないことがわかった.この力分配に関する結果を再現するために手形状の特徴を考慮した最適化モデルを定式化し計算機シミュレーションを行った.評価関数や拘束条件に力分配の情報を直接含んでいないにも拘らず,そのモデルは物体表面に対して法線方向の指先力だけではなく,鉛直方向の指先力もよく再現した.これまでに鉛直方向の指先力を再現した最適化モデルは報告されておらず,この手形状の特徴を含めた力分配の最適化モデルは有力なモデルとなると確信する.さらに,最適化モデルにおける評価関数の重み係数を実験データに基づいて逆最適化計算によって解く手法を提案した.試行錯誤的に決定する方法とは異なり,この方法によって計算された重み係数は被験者の戦略を説明する上で十分な信頼性を持つ.この研究成果は2003年6月に開催される国際会議ICANN/ICONIP 2003において発表される.
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