2003 Fiscal Year Annual Research Report
高周波帯域における超電導体の抵抗率・磁場侵入長・臨界電流密度の同時測定
Project/Area Number |
14750353
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山崎 貞郎 工学院大学, 工学部, 講師 (60317344)
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Keywords | 高温酸化物超電導 / Y系溶融体 / SRPM法 / 複素インピーダンス / 周波数依存性 / 抵抗率 / 磁場侵入長 / 臨界温度 |
Research Abstract |
100kHz〜30MHzの周波数帯域において抵抗率・磁場侵入長を同時測定する超電導試料として,直径5mm,長さ17.5mmの銀添加YBaCuO円柱状試料を用いた。これは,本年度に試作した測定用コイル型センサを考慮した形状である。コイル型センサの複素インピーダンス変化が試料特性に依存することから,試料寸法・センサ形状を定数に,試料の抵抗率・磁場侵入長をパラメータとして含む理論式を導出し,作成した解析プログラムを用いてシミュレーション計算をおこない,試料評価に用いる複素インピーダンスチャートを作成した。 評価に用いた試料は,Platinum Doped Melt Grouth法により作成し,銀の添加量を10〜30wt%とした3種類のものである。臨界温度を超える120Kにおける試料の周波数依存性を評価するため,100kHz〜30MHzの周波数帯域でコイル型センサの抵抗変化ΔRおよびリアクタンス変化ΔXの試料特性依存性を評価したところ,100〜600kHzの領域では周波数の2乗に比例し,600〜700kHzの領域では1.5乗に比例し,700kHzを超える領域では2乗に比例し,電子の平均自由行程に依存する傾向がみられた。 臨界温度を下回る温度領域においては,周波数が高くなるに従ってΔXの値が負方向へ顕著に振れる傾向を示した。低周波領域において,ΔXの値が負方向へ振れる度合いは,主として試料の磁場侵入長に依存するが,1MHzを超えた領域では,コイル型センサ自体が持つ僅かな周波数依存性の影響が無視し難くなるため,高周波帯における抵抗率・磁場侵入長の精密測定には,この影響のさらなる軽減が不可欠であることが示唆された。
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