2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750368
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40219118)
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Keywords | 全静脈麻酔 / 鎮静 / 筋弛緩 / プロポフォール / ベクロニウム / 予測制御 |
Research Abstract |
全身麻酔は意識消失,鎮痛,無動化の3要素からなる.最近,意識消失に関して,代謝速度が速く,患者が麻酔から早く醒め,副作用が少ない静脈麻酔薬が使用されるようになってきている.この利点を十分に活かすためには,静脈麻酔薬の注入量を意識消失の効果が得られる最小限に抑えることが望ましいので,より正確な制御が行えるむだ時間制御法を用いた静脈麻酔制御システムを開発してきた.本研究では,これを臨床応用可能とし,さらに麻酔の3要素すべてを自動制御することを目的として,(a)静脈麻酔時の危険回避についての検討,(b)鎮静度制御システムの有効性の臨床応用による確認,および(c)無動化に対応する筋弛緩度制御法の検討を行った.具体的には,(a)に関しては,麻酔医への聞き取り調査と鎮静度指標BISや患者からの測定データに基づき,危険回避機構を作成した.(b)に関しては,作成した危険回避機構を組み込んだ静脈麻酔制御システムの臨床応用を行って,適切な制御が行えることを確認した.(c)に関しては,筋弛緩度指標としてTwitchを利用し,筋弛緩薬投与速度の調整により筋弛緩度を制御する状態予測制御法を用いたシステムを作成し,シミュレーションにより制御性能を確認した.その結果,以下のことがわかった. ・とくに回避しなければならないのは,術中覚醒と循環動態の異常である.これらは,BIS値と血圧・心拍数からほぼ必要な情報が得られる. ・開発した鎮静度制御システムは,十分臨床応用可能であり,手動制御と比較して,より早く性格に鎮静度が維持でき,麻酔薬投与量を低減できる. ・シミュレーションでは,開発した筋弛緩度制御システムにより筋弛緩度を適切に制御可能である.今後は,筋弛緩度制御システムを臨床応用可能なものとするとともに,鎮静度と同時に制御するためのシステムを開発することを考えていく.
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