2002 Fiscal Year Annual Research Report
連立LMIの非共通解に基づくディスクリプタシステムの多目的ゲインスケジューリング
Project/Area Number |
14750381
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
川田 昌克 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (90311042)
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Keywords | 多目的制御 / ゲインスケジューリング / 線形行列不等式 / ディスクリプタ表現 / 倒立振子 |
Research Abstract |
ディスクリプタ形式のLPVシステム対するゲインスケジューリングでは,従来,ディスクリプタ変数を状態変数のみに選ぶことが多かった.この場合,パラメータpに関して高次のパラメータ依存LMIを解く必要があり,変動を保守性なく凸多面体で囲むことができないため,有限個のLMIに帰着すると各設計仕様を保守的に評価してしまうことになる.それに対し,ディスクリプタ変数を単に状態変数とするのではなく,状態変数の時間微分などもディスクリプタ変数に含ませることによって,各設計仕様に関するパラメータ依存LMIをpに関する1次式で表し,有限個のLMIに帰着する際の保守性に対処することが提案されている. また,多目的制御を行う場合,各設計仕様に関するパラメータ依存LMIを連立させる必要があるが,従来の方法では,本来共通でなくてもよい解も共通としているため保守的な設計となる.一方,状態空間表現の枠組みではあるが,LMIの共通解をコントローラのゲインのみとし,収束が保証される反復計算により保守性の少ないコントローラ設計を行う手法が提案されている. 本研究では,この考え方をディスクリプタ形式のLPVシステムに拡張し,保守性の少ない多目的ゲインスケジューリング(特に,極配置条件つきH-infinity制御)を実現する手法を提案した.提案法では,従来の結果と異なり,ディスクリプタ変数の選び方を工夫してコントローラのゲインを見かけ上,定数とする.その結果,共通解をコントローラのゲインのみとすることが可能なパラメータ依存LMIはpに関して1次となり,有限個のLMIへ帰着する際の保守性に対処できる.また,提案法の有効性は,倒立振子への応用例により検証し,LMIの解を共通とした場合よりも保守性を改善できることを示した.
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