2003 Fiscal Year Annual Research Report
軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強部材の力学的性能に関する研究
Project/Area Number |
14750390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 貴士 京都大学, 工学研究科, 助手 (70335199)
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Keywords | コンクリート曲げ部材 / 補強 / コンクリート巻立て補強 / 軸方向プレストレス / 曲げ変形性状 / 復元特性 / 靱性 / 緊張率 |
Research Abstract |
本研究課題では,コンクリート橋脚の補強を対象とした軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強について,補強部材の性能および適用性を検討した. 本年度は,軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強を適用した供試体に対して正負交番載荷曲げ試験を行い,その曲げ変形挙動について,無補強供試体,炭素繊維シート巻立て供試体,従来のコンクリート巻立て供試体との比較のうえで検討した.補強の方針として,曲げ耐力の増加およびエネルギー靭性の確保にくわえて,復元特性の改善を得ることにより,地震荷重に代表される外力作用後の補修の容易さ,耐久性,美観および視覚的安全性を向上させることを考慮した. 以下に,本年度の範囲内で得られた主な結果を示す. 1.補強部コンクリートに導入される軸方向プレストレスの量は,既存部と補強部コンクリート打継面を完全付着と仮定することにより算定可能である.また,既存部と補強部コンクリート打継面に離散型の付着要素を適用した二次元有限要素解析によって,軸方向プレストレスの分布を把握することができる. 2.軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強部材の降伏耐力および曲げ耐力は,適切な既存部と補強部コンクリート打継面処理を行っていれば,完全付着および平面保持を仮定することにより算定可能である.したがって,軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強部材には,従来の設計法が適用できる. 3.軸方向プレストレスを有するコンクリート巻立て補強部材は,曲げ耐力の向上によりエネルギーを吸収することによって靱性を確保する構造形式となる.また,PC鋼棒の適用量としては,補強後の断面における断面内の引張力に対する補強部緊張材の分担力の指標として緊張率λを用いた場合,靭性の改善効果が最も大きくなるλ=50%が最適であるといえる.
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