2002 Fiscal Year Annual Research Report
都市域水文陸面パラメーター算定のための現地観測研究
Project/Area Number |
14750425
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森脇 亮 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10302952)
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Keywords | 都市接地層 / 熱収支 / 水文陸面パラメーター / CO2フラックス / 現地観測 / 乱流輸送 / オアシス効果 / 放射収支 |
Research Abstract |
都市の熱・水・放射交換メカニズムを解明するために、東京都大田区久が原の低層住宅街における既存の観測鉄塔(高さ30m)を使用して、長期間に渡り詳細なフラックス観測を行い、都市の水文陸面パラメーター((1)バルク係数、(2)蒸発効率β、(3)アルベド、(4)ゼロ面変位、(5)流体力学的粗度およびスカラー粗度(熱・水蒸気)など)の導出に必要な、放射・乱流・熱・水・CO_2フラックスの1年間の連続データを得た。その結果、晴天日のデータをもとに以下のような知見が得られた。1)無視しえない有意な潜熱(ピーク時で夏季に200Wm^<-2>,冬季に15Wm^<-2>)が都市から放出されている。2)CO_2フラックスは全般的に夏季より冬季の方が大きい。夏季はCO_2フラックスに大きな時間変化はないが、冬季は8時ころと16〜23時ころにピークが見られる。特に冬のフラックスはCO_2濃度の時間変化パターンに似ており、地表からのフラックスがCO_2濃度の時間変化に大きく影響している。3)潜熱フラックス、CO_2フラックスに対する都市の構成要素の寄与を調べたところ、夏季は「庭木」が潜熱の主な蒸発源になっていると考えられるが、200Wm^<-2>の潜熱全てを庭木で説明しようとすると、森林の約2倍の潜熱が庭木から放出されていることになる。4)「コンクリート」からの潜熱は無視し得ない大きさであり、特に冬季にはその寄与度が相対的に大きくなる。5)CO_2フラックスには「家庭からの人工排出」と「自動車交通」と「庭木」が大きく影響を及ぼす。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森脇 亮, 神田 学: "都市接地層における放射・熱・水・CO_2フラックスの長期連続観測"水文・水資源学会誌. (印刷中).
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[Publications] 森脇 亮, 神田 学, 菅原広史: "都市接地層における熱・水蒸気・CO_2の乱流輸送効率の相似性"水文・水資源学会誌. (印刷中).
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[Publications] 森脇 亮, 神田 学, 木元由花: "都市接地層における乱流プロファイルの大気安定度依存性"土木学会水工学論文集. 47. 1-6 (2003)
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[Publications] R.Moriwaki, M.Kanda, T.Watanabe: "Turbulent transfer efficiency of momentum, heat, vapor, and CO2 measured in the urban surface layer over a densely built-up canopy, 15th Symposium on Boundary Layers and Turbulence"American Meteorological Society. (2002)
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[Publications] 森脇 亮, 渡邊倫樹, 神田 学, 松永和章: "都市接地境界層における運動量,熱,水蒸気,CO_2の乱流輸送特性"土木学会第57回年次学術講演会. II-260. 519-520 (2002)
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[Publications] 森脇 亮, 神田 学: "タワー観測による住宅街の熱収支・CO_2フラックスの季節変化"水文・水資源学会2002年研究発表会要旨集. 204-205 (2002)