2002 Fiscal Year Annual Research Report
山地森林流域における陽イオン流出機構の数理モデル化と収支に関する研究
Project/Area Number |
14750435
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Research Institution | Takamatsu National College of Technology |
Principal Investigator |
田村 隆雄 高松工業高等専門学校, 建設環境工学科, 講師 (40280466)
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Keywords | 森林流域 / 渓流水質 / 溶存イオン / 陽イオン / 流出機構 / 数理モデル / 物資収支 |
Research Abstract |
初年度は,山地森林流域における陽イオン流出機構の数理モデル化を行うために,次の2点に重点をおいて研究を行った.(1)主として徳島県横野谷流出試験地(広葉樹林)における定期的な水質観測.(2)陽イオン物質の渓流水質形成機構における流出成分の役割の評価を行うための流出解析. (1)については,約2週間ごとに渓流水を採取して水質測定を行い,解析用データの集積に努めた.また渓流水質形成機構には土壌中の物質分布が大きな要因となることを考慮して,土壌(表層から50cmまで,10cm毎6深度)を5月,8月,11月,1月に採取し,溶出試験を行って土壌鉛直方向の濃度分布の測定を行った.この他にも,森林土壌への入力値となる林外雨,樹木の枝葉に触れて落下する樹冠通過雨もあわせて採取分析した.これらの観測結果は次年度の物質流出機構のモデル化作業に供する. (2)については,これまでに主として硝酸態窒素(NO_3^--N)を中心とした陰イオンと同様のモデル化(複数の流出成分と物質流出機構を結びつけて渓流水質形成機構を表現する方法)が可能かどうかを検討するために,直列2段タンクモデルをこれまで蓄積してきた水文試料(主として2001年)に適用して,ハイドログラフを地下水流出成分,中間流出成分,早い中間流出成分,表面流出成分に分離し,それらの増減と渓流水陽イオン物質の濃度変化とを対応させた.その結果,陽イオンについても陰イオンと同様な手法で物質流出機構および渓流水質形成機構のモデル化が可能となることが分かった. なお陽イオンの中でもカリウム(K^+)については,渓流水濃度などの観測結果から,植生の影響(吸収,樹体表面からの溶脱)を強く受けることが推測され,他の陽イオン(マグネシウム,カルシウムなど)とは異なる流出機構であることが推測された.
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Research Products
(2 results)