2002 Fiscal Year Annual Research Report
社会基盤便益波及における不均衡状態を会計手法によって表現する方法の開発
Project/Area Number |
14750439
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
北詰 恵一 関西大学, 工学部, 専任講師 (50282033)
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Keywords | 不均衡 / ヘドニックアプローチ / 地理情報システム |
Research Abstract |
社会基盤整備による便益を帰着ベースで計測するとき,不均衡状態と考えられる分析時点で便益がどの程度波及しているかを知る必要がある.そこで、既存の不均衡経済理論をもとに便益波及構造を整理し,便益発生から波及メカニズムに関わる経済主体への残留分や分析対象域外への漏出や土地利用変化が実現していない時点での立地主体間の便益差分の存在などの波及過程を整理した.そして,不均衡状態と考えられる分析時点での計測値を集計しても発生便益と同一にならないことはもちろんであるが,各土地にどれだけ便益が帰着しているかという観点からは,例えば,土地に対するヘドニックアプローチで計測したもので十分に表現していると言えることを確認した. そして,土地利用変化が実現していない時点での評価の一例として,空地に着目した分析を行った.空地の発生要因には,投機的な側面や制度的な側面のほか,隣接地との関連性などの空間要因と事前、事後の土地利用の変化という時系列要因も考える必要がある.通常の立地選択や付け値最大化などの行動モデルによって説明することが本来求められるものの,それらを改善していくために,今一度,現に存在する空地の特性を見直すことが重要である.そこで,大阪都心から等距離帯にある同程度の人口と見なせる吹田市と尼崎市において,空地発生に関連性の強い説明要因を抽出することにより,地価安定期とバブル経済期,および人口増加都市と減少都市では,各々異なった空地発生要因が作用し,一律の行動モデルで説明することは危険であること,土地市場の動向における空地発生要因は,地価安定期では基礎的な土地利用の転換が、バブル経済期では地価の上昇が主な要因となること,人口の推移における空地面積は,人口増加都市では人口増減に関連希薄な条件が,人口減少都市では人口増減に関連濃厚な条件が、それぞれ主な要因となる,という結論を得た.
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Research Products
(1 results)