2002 Fiscal Year Annual Research Report
3次元地震動を考慮した液状化メカニズムに関する研究
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14750466
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三辻 和弥 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90292250)
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Keywords | 液状化 / 強震記録 / 上下動 / 1995年兵庫県南部地震 / スペクトル解析 |
Research Abstract |
1995年兵庫県南部地震時の液状化強震記録を用い,液状化地盤での上下動の挙動についてスペクトル解析により検討した。激しい液状化被害の見られたポートアイランドおよび東神戸大橋では鉛直アレーによる観測記録が得られており,この2つの記録を中心に検討した。特にポートアイランドではGL-83mからGL-32m,16m,0mの4地点での鉛直アレー記録が得られており,またここでは過大な上下動の加速度記録が得られたことが知られている。ランニングスペクトルを用いて,地表面(GL-0m)での上下動のスペクトル特性の推移を眺めると,液状化の起こる直前の時刻あたりからほぼ主要動の間,約4Hzのピークが上下動に見られることがわかった。上下動による地盤の非線形化は考慮しないで,1次元の応答解析を行うと,1次の卓越周波数は約8Hzとなり,この約4Hzのピークは説明できなかった。したがって,表面波や散乱波などの,1次元的な上下動の波動伝播以外の要因により約4Hzのピークが現れたことを明らかにした。また完全液状化に至る直前からこの約4Hzのピークは卓越し始めるため,一般に液状化発生のメカニズムで説明されるせん断振動(水平動)だけでなく,過大な上下動も土粒子の噛み合わせを解き,地盤を完全液状化状態に至らしめることに貢献したことを示唆した。今後,表面波の影響について検討したい。また液状化層上面および下面での水平動の位相差およびコヒーレンスを検討し,構造物被害に大きな影響を与えると考えられる約1Hz以下の周波数帯で位相差が逆転していることを指摘した。液状化層上面と下面での大きな位相差は大きな相対応答変位である程度説明できると考えられるが,主要動中の杭基礎構造物への影響という観点からは,応答変位法で考慮される地盤変位のほか,慣性力に似た杭地中部への影響が考えられる。この点に関しては継続して検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mitsuji, K, Karkee, M.B., Y.Sugimura: "CONSIDERATION OF VERTICAL MOTION IN THE EVALUATION OF LIQUEFACTION FROM OBSERVED SEISMIC DATA"Proceedings of 12^<th> European Conference on Earthquake Engineering. (CD-ROM). 534 (2002)