2002 Fiscal Year Annual Research Report
住宅の長寿命化を図るためのスケルトン―インフィル型木造軸組構法の開発
Project/Area Number |
14750479
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
板垣 直行 秋田県立大学, システム科学技術学部, 講師 (00271891)
|
Keywords | 木造住宅 / 長寿命化住宅 / スケルトン-インフィル / 軸組構法 / 半剛接接合 / 耐震性 / 伝統構法 / プラン構成 |
Research Abstract |
本年度は、既往の研究を発展させ、本研究開発の基礎となる木造軸組み接合部の耐力・剛性の向上、性能評価を実施した。また、対象となるスケルトン-インフィル型のモデル住宅を設計した。さらには伝統木造建築について調査し、それらの軸組み架構、接合部の技術、さらには住み方の変化について考察した。具体的な研究成果を以下に示す。 ・高剛性・高耐力な接合方法の開発 既往の引きボルト型接合について、その接合メカニズムを考察し、座金のめり込みを制御することによって、初期剛性が高く、降伏耐力以降では靭性に優れた接合部を設計した。これについて性能試験を実施したところ、初期剛性の向上を図ることは出来たが、梁端部での割裂破壊により、脆性的に破壊が生じるものもみられた。 ・スケルトン-インフィル型モデル住宅の設計 住宅におけるプラン構成の基本形を考察し、それらをライフステージに応じて改変したモデルプランのバリエーションを検討した。さらに、それらに対応するための軸組み架構(スケルトン部分)と間仕切壁や建具(インフィル)などの改変システムを検討し、4.55×4.55mまたは4.55×2.73mのスパンを組み合わせたモデル住宅を設計した。このモデル住宅の架構について、接合部の実験データを用いて、フレームの解析を行った ・木造伝統民家における架構システム及び住み方の変遷 秋田県峰浜村に現存する茅葺民家を調査し、その構造システム、住み方とプランの変遷について調査した。軸組み架構の構成方法については、大黒柱を中心に床組み及び小屋組みにより加構を拘束し、壁の少ない開放的居住空間を構成していた。また貫を主体とした接合方法により、半剛接接合部を実現していた。また、続き間を建具の有無、あるいは家具などにより繋げたり仕切ったりすることにより、家族構成に応じたプランの改変が行われていた。
|
-
[Publications] 伊藤真由子, 板垣直行, 岡崎泰男: "接合金物を用いた木造軸組架構の耐震性に関する研究 その1-接合部のモーメント抵抗性能-"日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1,構造III. 77-78 (2002)
-
[Publications] 板垣直行, 伊藤真由子, 岡崎泰男: "接合金物を用いた木造軸組架構の耐震性に関する研究 その2-接合部の補強と門型架構の実験-"日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1,構造III. 79-80 (2002)
-
[Publications] 渡辺千明, 飯島泰男, 鈴木有, 板垣直行, 高橋真由子, 篠木肇: "秋田県峰浜村における合掌造民家について その1 平面計画とその変遷"第53回日本木材学会大会研究発表要旨集. 53号. PI01 (2003)
-
[Publications] 板垣直行, 高橋真由子, 篠木肇, 渡辺千明, 飯島泰男, 鈴木有: "秋田県峰浜村における合掌造り民家について その2 構造と使用樹種"第53回日本木材学会大会研究発表要旨集. 53号. PI02 (2003)