2003 Fiscal Year Annual Research Report
木栓を用いた伝統的木造軸組み接合部の歴史的変遷と性能評価に関する実験的研究
Project/Area Number |
14750480
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤田 香織 東京都立大学, 工学研究科, 講師 (20322349)
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Keywords | めりこみ / 差鴨居 / 静的水平加力試験 / 込み栓 / 継手仕口 |
Research Abstract |
伝統的木造建築の保有水平耐力は耐力壁だけでなく,軸組み部分の接合部性能に大きく依存している.伝統的木造建築の軸組みは,特に近世以降になると,住宅建築を中心に「差鴨居」と呼ばれる,比較的大きい断面を持つ横架材と柱で軸組みが構成されることが多い.この柱と差鴨居で構成される軸組みは今日でも伝統的木造建築の主要な水平力抵抗要素であり,その性能は部材と比較して剛性が低い接合部の性能に依存している.本研究は伝統的木造建築の主要な水平抵抗要素である軸組みのうち特に近世以降の住宅建築で多く用いられている,柱と差鴨居に着目しその接合部性能を明らかにする目的である.本年度は,昨年度行った,実物大の接合部4種類(各3体)のうち一般性の高い2種類を選び,接合部と柱頭の間に土塗り壁が付加された場合の実物大静的水平加力試験を行い,剛性・最大耐力・破壊の進行の考察を行った.その結果,柱差鴨居接合部は回転剛性は母材,土壁と比較すると格段に低いものの,引張り力に抵抗するため土壁のせん断力が有効に発現できることが明らかになった.更に,接合部性能を規定している,込み栓(木栓)を対象としたせん断試験行った.その結果,破壊は主材・側材のめり込みと込み栓の曲げであった.また,込み栓の破壊にはせん断破壊と栓の繊維方向の割裂を伴う曲げ破壊が認められ,後者の方が最大耐力発現時の変形が大きいことがわかった.また,最大耐力は込み栓の比重とほぼ比例関係にあり,針葉樹と広葉樹では後者の方が高いのがばらつきも大きいことが明らかになった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤田香織, 花里利一, 坂本功: "伝統的木造五重塔の振動特性に関する研究その3 津観音五重塔の地震観測"2003年日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1分冊. 465-466 (2003)
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[Publications] 岩田真次, 中園眞人, 藤田香織, 坂本功: "伝統的木造住宅の固有周期の簡易推定法に関する研究"日本建築学会技術報告集(2003年6月). 第17号. 137 (2003)
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[Publications] 佐藤弘美, 藤原稲子, 藤田香織: "長押の形状の変遷と構造性能に関する実験的研究"2003年日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1 構造III. 413-414 (2003)
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[Publications] 藤原稲子, 植森貞友, 西澤英和, 福本和正, 藤田香織: "現地試験による伝統的木造民家の構造特性に関する研究滋賀県甲賀町の茅葺き民家 (その3 接合部の性能)"2003年日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1分冊. 433-434 (2003)
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[Publications] 渋谷泉, 松留愼一郎, 前川秀幸, 藤田香織: "木造接合部におけるほぞ差込み栓の強度特性とその破壊性状に関する実験研究"日本建築学会技術報告集. 第18号. 97 (2003)
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[Publications] 腰原幹雄, 藤田香織, 大橋好光, 坂本 功: "1923年関東地震による鎌倉の社寺の被害"日本建築学会構造系論文集. No.573. 129 (2003)