2002 Fiscal Year Annual Research Report
明治・大正期における官庁街の建設による都心改造の内容及びその後の変容過程の解明
Project/Area Number |
14750506
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松浦 健治郎 三重大学, 工学部, 助手 (20335144)
|
Keywords | 都心改編 / 官庁街 / 軍事施設 / 鉄道駅 / 城下町都市 / 港町都市 / 外国人居留地 / 近代計画史 |
Research Abstract |
1.今年度の研究概要 平成14年度は、近世城下町を基盤とする軍都5都市及び港町都市4都市を対象として、明治・大正期における官庁街の形成と都心改編について分析を行った。 2.今年度のまとめ (1)軍都5都市について 1)旧来の商業地区に近接して設置された官公庁施設 5つの軍都における官公庁施設の設置場所にはいくつかのパターンが見られたが、どの都市においても軍事施設の占拠する城郭周辺部に立地できないため、旧来の商業地区である旧町人地に隣接する場所が選定されていた。 2)官庁街の都市デザイン手法 官庁街の形成は、名古屋のように広小路等の既存の城下町基盤をうまく活用する形でヴィスタの焦点に官庁街を形成したり、仙台のように街区レベルで既存の小広場に面する形で官庁街を形成する、といった各都市独自の都市デザイン手法が存在した。 3)近代都市軸を形成した官庁街と鉄道駅 官庁街の形成は、鉄道駅の設置と共に、明治期における城下町都市の新たな都市骨格を形成・強化する重要な役割を果たした。 4)市民に開かれた官庁街への変容 官庁街は、明治期においては権力の象徴として、ある意味、威圧的な存在だったが、大正期には、図書館・公会堂等の市民利用施設と官公庁施設が集積し、市民に開かれた官庁街が形成された事例が見られた。 (2)港町都市4都市について 1)明確な官庁街を形成しなかった港町都市 計画的に都心部が形成された横浜を除く、新潟・神戸・長崎の3都市では、官公庁施設は分散して立地し、明確な官庁街を形成しなかった。 2)官公庁施設による都市空間の演出 港町都市では、横浜を除いて官庁街の形成は見られなかったものの、個々の官公庁施設に着目すると、港や都市軸をうまく活用した都市デザイン的意図が読みとれた。
|
-
[Publications] 松浦健治郎, 浦山益郎: "近世城下町を基盤とする軍都5都市における明治期の官庁街形成と都心改編"2002年度第37回日本都市計画学会学術研究発表会論文集. 499-504 (2002)
-
[Publications] 松浦健治郎, 日下部聡, 浦山益郎: "官庁街の変遷と都市デザイン手法に関する研究その1 明治・大正期における都心改変と官庁街〜仙台・名古屋の場合"2002年度大会(北陸)学術講演梗概集 日本建築学会. F-1分冊. 863-864 (2002)
-
[Publications] 日下部聡, 松浦健治郎, 浦山益郎: "官庁街の変遷と都市デザイン手法に関する研究その2 近世城下町を基盤とする軍都5都市における明治・大正期の都心改変の類型化"2002年度大会(北陸)学術講演梗概集 日本建築学会. F-1分冊. 865-866 (2002)
-
[Publications] 日下部聡, 松浦健治郎, 浦山益郎: "明治・大正期における官庁街の形成と都市デザイン-港町を起源とする県庁所在都市を対象として-"日本建築学会東海支部研究報告書. 第41号. 793-796 (2003)