2004 Fiscal Year Annual Research Report
セーヌ県知事オスマンの街路開設事業におけるパリ市歴史中心地区での土地収用と再開発
Project/Area Number |
14750537
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
松本 裕 大阪産業大学, 工学部, 専任講師 (20268246)
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Keywords | 都市組織(tissu urbain) / 土地区画分譲(lotissement) / パリ / レオミュール通り(rur Reaumur) / ファサード・コンクール / ポスト・オスマン / 土地収用(expropriation) / 都市再開発 |
Research Abstract |
本研究は、街路や地割を基本要素として構成されている「都市組織」の変遷を手がかりに、歴史都市パリにおいて空間構造が織り重なっていく過程を、事例に即して実証的に明らかにすることを目指している。こうした考察を通じて、「既存の都市組織を如何にして把握し、そこにどのようにして新しい空間を創造していくか?」という今日的課題に対し、「都市再開発史」という観点から有益な知見を導きたいというのがその問題意識である。 ・平成14年度には、特にパリ市歴史中心地区にあたる第I区と第II区に位置する「レオミュール通り」という一本の街路開設事業を取上げ、そこで実施されたオスマンの道路開設事業の実例を、主に「土地収用」と「土地区画分譲」の二側面に沿って実証的分析を行った。 ・平成15年度には、オスマンのパリ大改造、とりわけ道路開設事業を「近代都市」成立過程の一端として捉え、その意義を明らかにすべく分析を行った。その結果、特筆すべき二つの重要な社会変革:<フランス革命を通じたパッサージュ・クヴェールの誕生>と<オスマンによるパリ大改造を通じた街路開設事業>が都市組織の変遷において対照的である一方、近代経済活動の著しい発展が都市空間構造に色濃く反映されている点においては共通していることが明らかとなった. ・平成16年度は、レオミュール通りの街路開設事業に伴って枝葉的に開設された新街路デュスブ通りを始め、同時期に新たに開設された街路に関し資料収集を行った。また、最終年度につき、これまでの成果をまとめ、東京大学にて2005年2月20日に開催された都市史研究会において成果発表を行った。 これまでの結果に鑑みて、ポスト・オスマン期の特徴的な建築として商業建築・工業建築の台頭が明らかになった。こうした個別の事象に加え、ポスト・オスマン期のパリ都市形成がどのように実施されたかという、今後に向けた新しいテーマが発見された。
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