2002 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシャル形状記憶合金薄膜におけるマルテンサイト変態機構
Project/Area Number |
14750542
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前 一樹 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助手 (50293402)
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Keywords | マルテンサイト変態 / 界面 / 面方位 / エピタキシャル膜 / 形状記憶合金 |
Research Abstract |
平成14年11月1日付けをもって民間企業に転勤し、本研究を継続することができなくなったため、平成14年10月末をもって本研究を打ち切った。 本研究では、形状記憶合金のエピタキシャル膜をSiやMgO単結晶基板上に作製し、基板材料、基板方位、膜厚などを変化させることによって、薄膜-基板界面がマルテンサイト変態および形状記憶効果に及ぼす影響について明らかにすることを目的としていた。形状記憶合金は薄膜化によるマイクロマシンやマイクロアクチュエーターへの応用が見込まれ、ナノ力学デバイスへの発展も期待されているが、薄膜-基板界面がマルテンサイト変態ひいては形状記憶効果に及ぼす影響については系統的に調べた研究は意外とこれまでにない。 界面の存在は次のような効果を持つものと予想される。(1)格子ミスマッチの効果。薄膜と基板の格子定数が比較的近い場合、基板格子と整合するように薄膜の結晶格子は歪んでいる。この内部応力によってマルテンサイト変態温度が変化する。また変態前から一定方向に歪みが存在しているため、本来等価であった変態方位の中で優勢な方位が生じる可能性がある。(2)基板面方位の効果。薄膜の成長方位は基板の面方位に支配される。薄膜-基板界面では原子の変位が制限されるため、界面に平行でない剪断変形は抑制されることが予想される。双晶面や不変面が基板表面と平行な場合とそうでない場合によって変態温度が異なる可能性がある。(3)これらの効果は膜厚が小さいほど顕著になると考えられる。 電子銃蒸着装置、蒸着用金属などを購入し、研究の準備は整った段階であったが、転勤に伴い研究を打ち切ったため、目的の成果を得るには至らなかった。
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