2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14750546
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
田淵 正幸 函館工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (90321364)
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Keywords | Ti-Al-V合金 / 相変態 / マルテンサイト変態 / 電気抵抗測定 / 相変態速度論 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
研究にはTi-35at%Al-15at%Vを用いた.鋳造後,HIP処理を施したインゴットから,板状の試料を放電加工にて切り出し,1300℃,900sの溶体化処理後,室温水中に焼き入れ,β単相とした.昨年度に引き続き,主として電気抵抗測定による相変態挙動の追跡を行った. 室温から約900℃まで,温度上昇と温度降下を連続的に行い,これと同時に電気抵抗を測定した.その結果,温度上昇時の300℃付近と750℃付近で電気抵抗変化に相変態によるものと推定される挙動が見られた.このうち300℃付近の挙動に注目し,恒温時効と同時に電気抵抗測定を行っている.昨年度より恒温時効の温度域を広げ,250〜320℃で10℃おきの時効とともに抵抗測定を行った.その結果,潜伏期間,成長,飽和を示す典型的な拡散型相変態ものとよく似た変化曲線が得られた.変化速度の著しい温度依存性が見られたが,変化曲線の形は温度によらず一定であり,これも拡散型相変態の特徴と良く一致する.また,変化速度の温度依存性から算出された活性化エネルギーは約125〜140kJ/molであることがわかった.この活性化エネルギーは,合金内での原子拡散のものと考えられる.これらのデータから,この合金の準安定β相は300℃付近で何らかの相変態を起こすことが明らかである.しかし,その形態や結晶学的特徴は未だ不明であり,現在,組織の直接観察,およびX線回折等を進めつつある.今回注目した相変態は,課題にあるマルテンサイト変態そのものではないと考えられるが,これとの関連を含め,今後調査を進める予定である.これとは別に,応力誘起変態の可能性を探るため引張試験を試みたが,溶体化後の試料は弾性領域で破断し,非常に脆いことがわかった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田淵正幸: "Ti-35Al-15V合金β相の相変態(1) -電気抵抗測定による相変態過程の追跡-"函館工業高等専門学校紀要. 第38号. 77 (2004)
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[Publications] 田淵正幸: "Ti-Al-V合金の電気抵抗率の温度依存性"函館工業高等専門学校紀要. 第37号. 87 (2003)
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[Publications] 田淵正幸: "Ti-40Al-10V合金の引張特性"函館工業高等専門学校紀要. 第37号. 91 (2003)