2002 Fiscal Year Annual Research Report
湿式成膜法による高飽和磁束密度を有する軟磁性薄膜の作製
Project/Area Number |
14750560
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横島 時彦 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00339722)
|
Keywords | 電気・磁気デバイス / 電気化学 / 電子・磁気物性 |
Research Abstract |
磁気記録装置の大容量化,小型化に対応するために,書き込みヘッドのコア材料には,高い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性薄膜が求められている。そこで,全金属中最も高いBs(=24kG)を有するCo35Fe65合金に着目し,現行プロセスである電気めっき法による作製を試みた。しかし,今までにBs=24kGを有する電析CoFe薄膜は報告されておらず,アノード極でのめっき浴の酸化が原因の一つとされている。そこで,めっき浴中の鉄イオン状態について調べたところ,めっきを行うことでFe2+がFe3+に酸化されていることを確認した.Fe3+は水酸化物を形成しやすいため,その水酸化物が還元されきらずに膜中に取り込まれBsが減少していると思われる.そこでFe3+の生成を抑制し,高Bsを実現する検討を行った. まず,めっき浴を還元雰囲気としてFe2+の酸化の抑制を試みた.還元剤であるL-アスコルビン酸,ギ酸,トリメチルアミンボラン(TMAB)の添加したところ,全ての添加剤において無添加時と比べBsの上昇が認められ,特にTMABの添加により最大23kGが得られた.ヨウ素滴定の結果よりFe3+は認められず,還元剤添加によりFe3+の生成が抑制されBsが改善したものと思われる. 次に,浴中でのFe3+の生成を根本的に抑制するためデュアルセルを用いてアノードをめっき浴から分離して成膜を試みたところ,最大24kGを有するCoFe薄膜が得られた.アノードを分離することで浴中でのFe3+の生成が生成せず,水酸化物と思われる不純物の取り込みがほとんど無くなったことが一因と思われる. また,本薄膜は保磁力Hcが150eと良好な軟磁気特性を示さなかったが,熱磁場中にてアニールを行うことでHcの減少が認められ,400℃の熱処理において,約80eの軟磁気特性を得ることが出来た.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Osaka: "A High Moment CoFe Soft Magnetic Thin Film Prepared by Electrodeposition"Electrochem.Solid State Lett.. 6(4). C53-C55 (2003)
-
[Publications] 逢坂哲彌: "高Bs軟磁性材料 -ヘッド・媒体への展開-"日本応用磁気学会第128回研究会資料. 69-75 (2003)