2002 Fiscal Year Annual Research Report
使用湿度環境を考慮した機械的性質評価による高分子材料の信頼性の向上
Project/Area Number |
14750573
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石山 千恵美 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (00311663)
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル(PMMA) / ヤング率 / 湿度 / 引張特性 / ポリカーボネート(PC) / ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) / ポリアセタール(POM) |
Research Abstract |
本研究では、様々な湿度に保管した高分子材料を用いて機械的性質の測定試験を行なうことによって、大気中の水分が、高分子材料の引張強度やヤング率に及ぼす影響を明らかにする。これによって、使用湿度を考慮した強度評価が可能となり、高分子材料の信頼性向上に繋がる。 申請者は、PMMAの機械的性質に対する湿度の影響を調べる目的で、各湿度に長期間保持した試験片を用いて引張試験を行なった。その結果、PMMAの弾性的な変形挙動においては、湿度が高くなるにつれてヤング率は直線的に低下していた。また、ヤング率はひずみ速度が高くなるにつれて対数的に高くなっており、この傾向はどの湿度においても同じであった。このことから、PMMAの弾性的な変形挙動における湿度とひずみ速度の影響は互いに独立であることが明らかとなった。この結果よりヤング率の構成式を導き出した。また、塑性変形から破壊に至るまでの変形挙動に及ぼす湿度の影響を調べる目的で、各湿度に長期間保持した試験片を用いて引張試験を行なった。その結果、湿度が変化するにつれて塑性変形挙動は複雑に変化しており、塑性変形挙動の湿度による変化はクレイズ変形挙動と対応していることが明らかとなった。そこで、湿度変化をより短時間で測定する目的で、PMMAの薄膜を試験片に加工して試験を行なうために、微小荷重での試験が可能な引張試験装置を経費で購入した。薄膜より引張試験片を作成する方法および引張特性に対する湿度の影響を調べる方法の確率を目指した。 また、PMMA以外の数種の高分子の湿度と機械的性質の影響を調べる目的で、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンを選択した。射出成形でダンベル型にした試験片を準備した。試験片は、残留ひずみを取り除き乾燥させる目的で熱処理を行なった後、3種類の湿度と水中に保持し293Kの恒温槽に保管して湿度調整を行なっている。水分吸収量の変化を測定する目的で、定期的に重量測定を行なっている。
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Research Products
(1 results)