2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境浄化型TiO_2/プラスチック複合溶射皮膜の創製
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14750593
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 康徳 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (20290827)
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Keywords | 酸化チタン / 光触媒 / 複合粉末 / 溶射 / アナターゼ |
Research Abstract |
TiO_2を用いた光触媒技術はクリーンかつ省エネルギーな環境浄化対策の一つとして大きな注目を集め,その製品化も進められている.実際に環境浄化膜としての使用にあたり,大面積を有する膜構造にすることが必要となるが,環境悪化の著しい大都市圏などでは設置場所やコスト等の問題があり困難を極める.したがって既存のインフラストラクチャーへ直接膜形成が可能な加工法が必要である.かかる現状に鑑み,本研究ではプラスチックスとセラミックスであるTiO_2による複合皮膜を迅速かつ大面積で作製する技術を提供するために,フレーム溶射法によるセラミックス/プラスチックス複合皮膜の創製という独自の方法を適用し,環境浄化型TiO_2皮膜の作製を試みた. 溶射法では,粉末を溶射ガンへ供給することが必要であるが,市販のアナターゼ型TiO_2は微細であり,単純にプラスチックスとTiO_2との混合ではガンへの送給時につまりが生じ,皮膜作製が困難となる.そのため,両者の複合粉末を作製する必要がある.この際複合に結合剤を使用すると溶射時の熱分解により皮膜内に気孔の発生が懸念されることから,結合剤を使用しないことが望ましい.そこで,まず複合粉末作製法の検討を行った.様々な複合方法を検討した結果,ボールミルを用いて微細なTiO_2粒子をプラスチック粒子に機械的に埋め込むことにより結合剤を用いない複合粒子が作製できた.この粒子は流動性も良く,溶射ガンへ容易に送給でき,皮膜を作製することが可能であった.得られた皮膜表面にはTiO_2粒子が多数存在しており,さらに光触媒活性の低いルチル相への転移も少ないことから,良好な光触媒活性が期待される. さらに,TiO_2とプラスチックスの直接接触によるプラスチックスの劣化を抑制するために,TiO_2をマイクロカプセルへ内包し,直接接触を防ぐことが有効であると考え,その作成条件の検討を行った.その結果,アナターゼTiO_2を内包した球状マイクロカプセルが作製でき,TiO_2のハンドリング性能が向上した.今後皮膜の性能評価を行い,皮膜作製条件の適正化および吸着剤の添加等による性能向上を図る予定である.
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