2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゲスト分子の占有性とガスハイドレートの構造相転移現象に関する研究
Project/Area Number |
14750604
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 武 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20335384)
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Keywords | ガスハイドレート / 構造相転移 / ケージ占有性 / 相平衡関係 / ラマン分光法 / 高圧力 / 混合ガス |
Research Abstract |
耐圧500MPaまでの高圧光学セルを用いて窒素ハイドレートを調製し、安定境界曲線を測定した。また、セル内で窒素ハイドレート単結晶を調製し、顕微ラマン分光分析を行った。その結果、ハイドレート籠内に包接された窒素分子の分子内窒素-窒素間伸縮振動に対応するラマンスペクトルから、窒素ハイドレートは、500MPaまでの圧力範囲で構造相転移せず、構造II型ハイドレートを形成するという結果を得た。また、この系で従来報告のあった、1つの籠を窒素2分子が占有するダブル占有という占有形態をとることを示す分光学的な証拠は得られず、500MPaまでの圧力域で、窒素1分子は1つのケージを占有していると考えられる。 混合ガスハイドレート系として、メタン+エチレン混合ガスハイドレート系の等温相平衡関係を測定した。284.0Kでは、混合ガスハイドレートの平衡圧力は、同じ温度でのメタン、エチレン各純粋ガスハイドレートの平衡圧力間で推移した。一方、293.1Kでは、気液平衡で見られる最高共沸現象と類似の挙動を示した。また、顕微ラマン分光分析を行うことで、ラマンスペクトルのピーク面積比から、混合ガスハイドレート結晶内の組成を測定した。その結果、ガスクロマトグラフによって、あらかじめ測定した平衡時のガス相の組成と、ラマンスペクトルから求めたガス相の組成が良好に一致したことから、ラマン分光法は混合ガスハイドレートの組成を測定する上で、有効なツールであることが確認できた。また、本混合系では、どちらの温度の相平衡関係でも、組成に依存した構造相転移は起きなかった。エチレンと同程度の分子サイズであるエタンが混合したメタン+エタン混合ハイドレート系では、構造相転移現象が起きることは既に報告されているため、この差に注目して実験を継続する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Toshiyuki Nakamura: "Stability Boundaries of Gas Hydrates Helped by Methane -Structure-H Hydrates of Methylcyclohexane and cis-1,2-Dimethylcyclohexane"Chemical Engineering Science. 58・2. 269-273 (2003)
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[Publications] Noriyuki Shimada: "Phase Transition from Structure-H to Structure-I in the Methylcyclohexane + Xenon Hydrate System"Fluid Phase Equilibria. (印刷中).
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[Publications] Takeshi Sugahara: "Isothermal Phase Equilibria for the Methane + Ethylene Mixed Gas Hydrate System"Fluid Phase Equilibria. (印刷中).
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[Publications] Keisuke Sugahara: "Thermodynamic Stability and Structure of Nitrogen Hydrate Crystal"Journal of Supramolecular Chemistry. (印刷中).
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[Publications] 大垣 一成: "メタンハイドレートの相平衡と構造相転移"日本海水学会誌. 56・4. 292-296 (2002)
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[Publications] Takeshi Sugahara: "Small Cage-Occupancy of Guest Species in the Ethane, Ethylene and Cyclopropane Hydrate Systems"Proceedings of the Fourth International Conference on Gas Hydrates. 2. 608-613 (2002)