2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温型プロトン導電体の水素ポンプ機能を用いた純水素製造
Project/Area Number |
14750654
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 広重 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (70283413)
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Keywords | 高温型プロトン導電体 / 水素製造 / 水蒸気電解 / プロトン / 正孔 / 電極反応 / イオン輸率 |
Research Abstract |
本年度は,再生可能エネルギーによる水素製造を想定し,プロトン導電体を隔壁とした電気化学セルによる水蒸気電解について検討した.電解質としてストロンチウムセレート系の高温型プロトン導電体を用い,小規模の電気化学セルを構成し,700〜1000Cの温度で,室温程度で水蒸気飽和したアルゴンガスからの水蒸気電解試験を行った. 電流に対する水素発生速度および出口ガス中の水蒸気分圧の相関から,導電種はプロトン,酸化物イオン,および正孔(ホール)であると考えられた.プロトンと酸化物イオンの輸率の和であるイオン輸率は,800℃において最大の約0.7となった.それより高い温度でイオン輸率が低下したのは,バルク中のホールの輸率が増大した結果であると理解できる.これに対して,800℃よりも低い温度でイオン輸率が低下したのは,バルクのホール輸率からは説明できず,水蒸気の分解の電極反応が起こりにくいからであることが示唆された.イオン輸率はアノードガス中の水蒸気分圧とともに単調に増大したことから,主にアノード反応が円滑に進んでいないと考えられた. 水蒸気電解におけるイオン輸率は最大でも0.7程度であったが,この逆作動である燃料電池発電においてはイオン輸率はほぼ1に近い.したがって,水蒸気電解における各導電種の輸率をバルクの部分導電率から説明することはできず,電極反応の円滑さの違いによると考えざるを得ない.上記の実験結果はこのことを示しており,アノードでの水蒸気電解の反応が,ホールによる反応に比較して高い分極抵抗を有するためにプロトン輸率およびイオン輸率が低くなったと考えられる. これらの知見をもとに,アノードを銀およびルテニウムで修飾したところイオン輸率,プロトン輸率ともに工場が見られた.このことから上記の考察が裏付けられ,また,アノードの吟味によりさらに水蒸気電解効率を向上させられる可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Matsumoto, S.Hamajima, K.Katahira, H.Iwahara: "Extraction and production of hydrogen using high temperature proton conductor"Solid State Ionics. 152-153. 715-720 (2002)