2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温型プロトン導電体の水素ポンプ機能を用いた純水素製造
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14750654
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 広重 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (70283413)
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Keywords | 高温型プロトン導電体 / 水素製造 / 水素分離 / 改質ガス / ストロンチウムジルコネート / 無電解メッキ / 電極過電圧 / パラジウム |
Research Abstract |
本年度は,天然ガス等の炭化水素ガス改質ガスからの水素分離について検討を行った.改質ガスは主に水素,一酸化炭素および二酸化炭素を主成分とするが,このうちで二酸化炭素はセレート系電解質(ペロブスカイト型構造の6配位サイトの主構成元素がセリウムであるもの)を分解する.このため,ストロンチウムジルコネート系のプロトン導電性電解質を用いた. ストロンチウムジルコネート系電解質に電極として従来の多孔質白金電極を用いたところ,非常に高い電極過電圧が観測され,実用上大きな問題となることが分かった.種々の試みの結果,白金電極を無電解メッキ法によって調製することにより,電極過電圧が二桁から三桁低減できることが分かった.無電解メッキにより調製した白金電極(以下,白金メッキ電極)はその材質が白金であるという点では活性の著しく低い多孔質白金電極と変わらない.したがって,その活性の大きな差異は,電極反応場の量的な違いに帰せられる.具体的には電極をメッキ法により調製することで電極-電解質の非常に細かな接触が密に生じ,電極反応場となる気相/電極/電解質のいわゆる三相界面の長さが飛躍的に増大したものと考えられる.調製時の段階では白金メッキ電極はナノメートルオーダーの微構造を有するが,高温処理後にはこの微構造は消失する.したがって,白金メッキ電極のどのような微構造が高電極活性を導くのかは今後の課題である. 以上のように白金メッキ電極はある程度高い活性を有するが,白金自体のジルコネート系電解質に対する非適合性に変わりはない.そこで,白金以外の電極材の探索を試みた結果,パラジウムの電極活性が高いことが判明した.その電極活性の高さは,水素の透過性あるいは内包性にあると考えられる.パラジウム自体は酸素との反応性をもつため扱いが難しいが,今後新たな電極材の探索に向けた一つの指針となるものである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Matsumoto, 他10名: "Hydrogen Separation from Reformed Gases Using High-Temperature Proton Conductors"Proc. 9^<th> Asian Conference on Solid State Ionics. (予定). (2004)
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[Publications] H.Matsumoto, H.Hayashi, T.Shimura, H.Iwahara, T.Yogo: "Electrochemical hydrogen isotope sensing via the high-temperature proton conductor CaZr_<0.90>In_<0.10>O_<3-α>"Solid State Ionics. 161. 93-97 (2003)