2002 Fiscal Year Annual Research Report
非線形化学現象による固体表面上での機能性動的ナノパターンの自発的形成
Project/Area Number |
14750656
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 周次 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40333447)
|
Keywords | 電気化学振動反応 / 非線形現象 / 自己触媒反応 / 時空間パターン |
Research Abstract |
1.H_2O_2、S_2O_8^<2->還元反応に伴う振動現象の機構解明 本研究を通して、電極表面に化学吸着したハロゲンなどのアニオン種がH2O2やS2O82-などの過酸化物の吸着に対し触媒効果を示すことを明らかにした。また、この触媒効果に起因する電気化学振動を新たに発見した。これらの結果に基づいた電極触媒振動の機構に関する一般論を構築した。この結果は学術誌に投稿され、受理された。 一方で、電気化学振動に伴い電極表面上に現れる時空パターンの観測にも成功した。設定電位など外的条件を変化させることにより、伝播性の化学反応波や非伝播性の定在波など現れる化学反応波の性質が変化することを見出し、化学波の電気化学的制御が可能であることを明らかにした。この結果に関しては現在、投稿準備中である。 2.電気化学的金属析出振動反応を利用した構造形成 これまでの研究で、SnやCu、Znなど多くの金属の電析反応に伴い振動現象が現れることが分かっていた。平成15年度にはこの研究を発展させ、振動の機構を解明し、この振動がシダの葉状の特異な結晶成長を導くことを明らかにした。 これらの振動現象は自発的に生じるものであったので、その精密な制御は困難であり振動を利用した機能構造形成には限界があった。そこで、新たに任意に振動現象を導く方法を開拓し、それを合金析出反応に適用させた。その結果、この合金析出振動反応を利用した金属/合金多層薄膜のナノメートルスケールでの構築に成功した。この新たに考案した方法は、その動作原理より広く一般の金属、合金に適用することが期待されている。 これらの結果に関してはChem. Lett.に投稿し、受理された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.Nakanishi: "New autocatalytic mechanism for metal electrodeposition leading to oscillations and fern-leaf-shaped deposits"Chemistry letters. 31. 636-637 (2002)
-
[Publications] S.-I.Sakai: "Oscillation-induced layer-by-1ayer electrodeposition producing alternate metal and metal-alloy multilayers on a nano-meter scale"Chemistry letters. 31. 640-641 (2002)
-
[Publications] S.Nakanishi: "Promoted dissociative adsorption of hydrogen peroxide and persulfate ions by a catalytic effect of adsorbed bromine, causing electrochemical oscillations"Journal of electrochemical society. 150. E47-E51 (2003)