2002 Fiscal Year Annual Research Report
静電スプレー法によるEL発光素子用ナノ結晶酸化スズの合成
Project/Area Number |
14750662
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松嶋 雄太 東京農工大学, 工学部, 助手 (30323744)
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Keywords | 酸化スズ / 静電スプレー法 / 静電噴霧 / ナノ微粒子 / ナノ結晶 / 微粒子層 / EL素子 / 粒子径制御 |
Research Abstract |
酸化スズを原料とする新規EL素子の開発を目的として、静電スプレー法を用いた酸化スズナノ微粒子層を作製した。研究項目は、1.静電スプレー装置の試作、2.スプレー条件と堆積膜形態の関係の解明、3.堆積した粒子層のキャラクタリゼーションであった。項目1では、自作の静電スプレー装置をアクリル製チャンバで覆った。開放雰囲気で行なっていた静電スプレーに対し、より精密な雰囲気制御を可能にした。項目2では、キャピラリー印加電圧8〜12kV、基板温度500℃の条件で、パイレックスおよび石英ガラス基板上に多孔質状の微粒子層が堆積することを明らかにした。均一な堆積膜が得られたときのキャピラリー-基板間は、パイレックスで5cm、石英ガラスで2.3cmであった。この違いは主に基板の誘電率の違いに起因すると考えられた。基板温度500℃以下では液滴が蒸発する前に基板に到達し、膜のひび割れの原因となった。前駆体溶液に希塩酸を少量加えて電気伝導度を変化させることで、比較的再現性良く堆積粒子径を制御できることがわかった。現在のところ70nm粒子の生成を確認している。一方溶液濃度を変化させた場合では、濃度変化に伴う電気伝導度変化が粒子径制御を困難にした。項目3では、堆積粒子層の詳細なキャラクタリゼーションを行なった。SEMではスプレー条件に応じて70〜200nmの粒子が観察されたが、粉末X線回折では全ての条件において結晶子径は6〜9nmであった。SEMで観察される100nm程度の粒子は、8nm程度のナノ結晶から成る凝集粒子であることが示された。粒子層の電気抵抗は、800℃1時間程度の熱処理により大きく減少した。これは粒子間でのネック成長を示しており、熱処理による粒子間の接触度制御の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)