2002 Fiscal Year Annual Research Report
2種の金属触媒の相乗効果による高効率的な触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
14750682
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平落 洋二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60324810)
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Keywords | 双極子 / シクロ付加 / アゾメチンイリド / 不斉配位子 / キラル錯体 / ルイス酸 / BINAP / SEGPHOS |
Research Abstract |
本研究におけるアゾメチンイリドと親双極子のシクロ付加反応では、N-ベンジリデングリシンエステルからアゾメチンイリドを発生させるルイス酸と、親双極子を活性化するルイス酸がそれぞれ独立して機能することが必要である。そこで最初に、双極子を発生させるルイス酸のみを添加した反応について検討した。本反応系では、これまでに報告されているほとんどの例においてエンド付加体しか得られていない。しかし、ルイス酸と配位子の組み合わせを変えて錯体を調製し反応を行ったところ、銅-ホスフィン錯体触媒を用いた場合に、高いエキソ選択性が得られることを見出した。次に、本反応系を触媒的不斉反応に展開するために銅-キラルホスフィン錯体を触媒として検討したところ、銅-BINAP錯体触媒存在下、N-p-ニトロフェニルメチレングリシンエステルとN-フェニルマレイミドの反応において、エキソ付加体のみを収率73%、94%eeで得ることができた。また、親双極子として、N-メチルマレイミドよりもN-フェニルマレイミドを用いた場合に高いエキソ選択性が得られたことから、本反応におけるエキソ選択性が、ホスフィン配位子と親双極子の立体反発によって発現する機構を明らかにした。さらに、フマル酸エステル、フマロニトリルなどの親双極子を用いた場合にも、SEGPHOS等のBINAP類縁体を用いることにより高い不斉収率を得ることができた。 次に、双極子を発生させる銅-BINAP錯体触媒に加えて、親双極子を活性化するルイス酸を添加し、反応性の向上について検討を行った。親双極子としてアクリル酸エステルを用いて、触媒量のトリエチルボラン・ジエチルエーテル錯体を添加したところ、これまで銅-BINAP錯体では全く進行しなかった反応が、収率は低いものの進行することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)