2003 Fiscal Year Annual Research Report
2類の金属触媒の相乗効果による高効率的な触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
14750682
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平落 洋二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60324810)
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Keywords | 双極子 / シクロ付加反応 / アゾメチンイリド / 不斉配位子 / キラルホスフィン錯体 / ルイス酸 / 分子内反応 / 高圧反応 |
Research Abstract |
本研究における、イミンから金属イオンと塩基によって発生するアゾメチンイリドと親双極子の不斉シクロ付加反応は、イミン炭素に芳香族置換基が必要であるなど、双極子や親双極子に導入可能な置換基に制約があるため、その改善は重要な課題である。そこで本年度は、昨年度に見出した銅-キラルホスフィン錯体を触媒とするアゾメチンイリドの触媒的不斉シクロ付加反応の基質一般性を高める以下のような研究を進めた。 1.アゾメチンイリドの触媒的不斉分子内シクロ付加反応 イミン部位と親双極子部位を同一分子内にもつ反応基質を合成し、銅(II)-キラルホスフィン錯体触媒存在下で分子内シクロ付加反応を検討した。その結果、キラル配位子としてCHIRAPHOS、溶媒としてTHFを用いた場合に、芳香族置換基をもたないアゾメチンイリドと親双極子のシクロ付加体を高いジアステレオ、エナンチオ選択性で得ることに成功した。また、付加体は二環性の縮環化合物であることから、より複雑なアルカロイド等の生理活性物質合成への応用が期待できる。この結果は、触媒的なアゾメチンイリドの分子内不斉シクロ付加反応を達成した初めての例である。 2.高圧条件下でのアゾメチンイリドの触媒的不斉シクロ付加反応 シクロ付加反応を促進するもう一つの方法として、高圧条件下でのアゾメチンイリドの触媒的分子間シクロ付加反応を検討した。その結果、これまで常圧下では進行しなかった、イミン炭素にアルキル基(シクロヘキシル基やt^-ブチル基等)を導入した基質を用いた場合でも、10kbarの高圧下ではシクロ付加体が良好な収率で得られた。さらに、イミンのα位にメチル基を導入した出発物質を用いた反応では、ジアステレオ選択性の反転やエナンチオ選択性の向上が観察できた。
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Research Products
(1 results)