2002 Fiscal Year Annual Research Report
高活性ルテニウムクラスター触媒を用いる不飽和分子の新規還元反応の開発
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14750685
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 公紀 九州大学, 機能物質化学研究所, 助手 (00294984)
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Keywords | クラスター触媒 / ヒドロシリル化反応 / 多環芳香族 / 還元反応 / アミン合成反応 / 配位カチオン重合 / ポリビニルエーテル |
Research Abstract |
本研究では、高い触媒活性を有する架橋π共役配位子を持つルテニウムクラスターを触媒とする不飽和有機分子の新規還元反応、重合反応の開発を目的としている。本年度は新規反応の開拓を第一の目標として、ルテニウム3核カルボニルクラスターを触媒として用い、従来還元しにくいとされる還元反応の達成を図った。またヒドロシランとクラスター触媒を用いる配位カチオン重合反応についていくつかの新しい反応開発を行った。 ヒドロシランによる還元反応では、まずアミドの還元によるアミン合成反応について、汎用性の高い大量合成法を開発した。この成果は現在"Organic Synthesis"に投稿中である。また、含窒素化合物の還元反応を展開し、酸素を含まないイミン類の還元反応を検討した。その結果対応するシリルアミンをよい収率で合成することに成功した。いずれも反応条件の検討により活性を高める必要があったが、これまでの含酸素化合物の反応とは異なるシランの種類や溶媒の改善など、反応機構につながる知見を得ることができた。今後はニトリル類、ヒドラジン類、オキシム類などに展開することで一連の含窒素化合物の還元反応システムの構築が可能になるものと思われる。また、グリーンケミストリーに直結するハロゲン化化合物の脱ハロゲン化反応も同じ触媒システムで達成できることを明らかにしている。 重合反応の開発検討では、従来カチオン重合が知られているアルキルビニルエーテルの重合反応を行ったところ、速やかに重合反応が進行し、対応するポリビニルエーテルを高い収率で得ることに成功した。このポリマーの分析の結果、特にtブチルビニルエーテルを用いた場合にリビング重合に匹敵する狭い分子量分布が得られたこと、末端に必ずシリル基が導入されていること、低触媒濃度重合が可能であることを明らかにした。また、シロキサンなどをヒドロシランとして用いることもでき、末端にシロキサンを持つ反応性高分子の構築が可能であることを見出した。以上の成果は配位カチオン重合を用いた反応としてこれまでほとんど例がなく、重要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kouki_Matsubara, Shoji Mima, Takashi Oda, Hideo Nagashima: "Preparation, Structures, and Haptotropic Rearrangement of Novel Dinuclear Ruthenium Complexes, (μ_2,η^3 : η^5-guaiazulene)Ru_2(CO)_4(CNR)"J.Organomet.Chem.. 650. 96-107 (2002)
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[Publications] Kouki Matsubara, Kazuhiro Ryu, Tomoyuki Maki, Takafumi Iura, Hideo Nagashima: "Oxidative Addition of H-SiR_3 to Di-and Triruthenium Carbonyl Complexes Bearing a Bridging Azulene Ligand"Organometallics. 21. 3023-3032 (2002)
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[Publications] Kouki Matsubara, Takafumi Iura, Tomoyuki Maki, Hideo Nagashima: "A Triruthenium Carbonyl Cluster Bearing a Bridging Acenaphthylene Ligand : An Efficient Catalyst for Reduction of Esters, Carboxylic Acids, and Amides by Trialkylsilanes"J.Org.Chem.. 67. 4985-4988 (2002)
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[Publications] Kouki Matsubara, Jun-ichi Terasawa, Hideo Nagashima: "Silane-Induced Ring-Opening Polymerization of 1,1,3,3-Tetramethyl-2-oxa-1,3-disilacyclopentane Catalyzed by a Triruthenium Cluster"J.Organomet.Chem.. 660. 145-152 (2002)