2004 Fiscal Year Annual Research Report
超分子構造を利用した高強度・高弾性率を有する新規セルロース繊維の開発
Project/Area Number |
14750702
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 和幸 北見工業大学, 工学部・化学システム工学科, 助手 (20333669)
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Keywords | セルロース / セルロース溶媒 / アミン / チアシアン酸塩 / 異方性 / 結晶多形 / セルロース繊維 / 溶液紡糸 |
Research Abstract |
セルロースを有効利用する目的で、再生セルロースの新規調製法および高性能化について取り組んできた。特にセルロースの可溶化に関して、既存の溶媒システムを放棄し、新たにエチレンジアミン、ヒドラジンなどとチオシアン酸塩を用いる新規溶媒系の開発を行った。 前年度までに見出したエチレンジアミン/チオシアン酸ナトリウム溶媒を用いて、セルロースの繊維化を行った。まず、本溶媒中に溶解したセルロース溶液が異方性(液晶性)を示すよう、セルロースの分子量、濃度を調節し、-20℃と室温への温度循環工程を経てセルロースを溶解した。異方性発現は、昨年のレオロジー測定から得られた条件をもとに達成された。この溶液を購入した紡糸用ノズルに封入し、窒素ガスで圧力をかけながら凝固水浴中に押し出すことにより、レーヨン様のセルロース繊維を得ることに成功した。得られた繊維は、回転数が制御可能なローラーで張力をかけながら巻き取ることによって、様々な力学物性を持つセルロース繊維を得た。例えば、引っ張り強度および弾性率はそれぞれ、3g/dおよび155g/dで、既存のビスコース法から得られるレーヨン繊維と比較してほぼ同程度のものが得られた。強度のみに関しては、高強度を掲げているNMMO/水系から得られる再生セルロース繊維よりも低い結果であったが、紡糸条件を最適化することによって向上すると推定され、今後の課題として示された。 得られた繊維を透過型電子顕微鏡で観察すると、表面は滑らかな円筒状で特にフィブリル化が進行している様子は無かった。また、断面は潰れたハニカム状をしており、これはノズルの形状を変えることで変更可能と考えている。以上の結果は、平成16年に行われた第227回アメリカ化学会および第53回高分子年次大会にて発表し、国際誌Polymer Journalに発表した。
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Research Products
(2 results)