2002 Fiscal Year Annual Research Report
一次元遷移金属トリアゾール錯体と生体分子の精密複合化に基づく新規ナノ材料の開発
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14750712
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒岩 敬太 九州大学, 工学研究院, 助手 (70336006)
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Keywords | ナノ金属錯体 / オルガノゲル / サーモクロミズム / 自己組織化 / ゾルゲル転移 / 動的粘弾性 / 糖鎖 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究は、擬一次元金属錯体を基本骨格とする分子組織性ハイドロゲルを開発し、スピン転移のような錯体特有の機能と、ゾル-ゲル転移のような高分子物性の融合をはかることを目的としている。本年度は、電子状態と力学的物性の変化が調和をなす、新しいナノ材料設計の方法論を検討した。 まず、長鎖ならびに糖鎖を有する一次元遷移金属(Fe(II),Co(II),Ni(II),Cu(II))トリアゾール錯体の構築に成功した。特に、エーテル基を含む長鎖アルキル基を配位子に有するCo(II)トリアゾール錯体Co(II)(C_<12>OC_3Trz)_3Cl_2はクロロホルム中でゲルを形成した。このゲルは、T_d構造に由来する青色を呈するが、0℃まで冷却するとO_h構造に由来するピンク色の溶液に変化した。この相変化は可逆的であった。上記の相転移挙動を粘弾性測定からも評価した。配位構造の変化が起こる25℃付近では溶液に由来する粘弾性現象であり、その前後の温度で粘性の高い状態へと変化した。この結果は、錯体構造の変化が巨視的な溶媒の性質を変化させた初めての例であり、金属錯体の動的機能と物性が相関した特異的なシステムの開発に成功しつつある(論文投稿準備中)。 Fe(II)錯体については、固体フィルムを作成でき、スピンクロスオーバー転移が室温以上で確認された。また、Ni(II)錯体については、透過型電子顕微鏡観察において、秩序を持ったナノ構造を与えることを見いだし、糖鎖を有する配位子を用いることによって、水溶液中においても高分子構造が安定に存在することが確認された。このように、機能性部位を有する一次元金属錯体は、溶媒と分子構造を適切に選択することにより、一次元鎖を溶液中に保ったまま分散することが可能である。現在では、一次元錯体の外部刺激(タンパク質など)への応答性についても検討している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Kuroiwa, T.Harada, Y.Hatanaka, K.Yasui, N.Kimizuka: "Supramolecular Nanostructure Formed from Dicationic Azobenzene Compound and Perfluorinated Dicarboxylic Acids"Kobunsi Ronbunshu. 59・12. 772-777 (2002)
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[Publications] I.Ichinose, R.Takaki, K.Kuroiwa, T.Kunitake: "Electrostatic Adsorption of Cytochrome C on Ultrathin ZrO_2-Gel Layers and Preparation of the Alternate Multilayer"Langmuir. 論文受理(発表予定). (2003)
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[Publications] I.Ichinose, K.Kuroiwa, T.Kunitake, Y.Lvov(分担執筆): "Multilayer Thin Films : Sequential Assembly of Nanocomposite Materials"G.Decher & J.B.Shienoff. 544 (2003)