2002 Fiscal Year Annual Research Report
動的ワークフローマネージメントシステムによる船舶ブリッジ業務支援
Project/Area Number |
14750724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 英幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (60323440)
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Keywords | 協同 / 対話分析 / エスノメソドロジー / コラボレーション / 船舶 / アノテーション / 確率モデル / チームワーク |
Research Abstract |
平成14年度は、ブリッジにおける協同作業の調査、分析を中心に行なった。調査としては、4日間に渡る外航コンテナ船への乗船調査(2002年8月)と3日間の操船シミュレータを用いた協同作業のトレーニング(BRMトレーニング)の参加調査を行い、ここでのブリッジの作業記録をビデオや音声を用いて記録した。特に、これらの作業記録のうち、比較的周囲の輻輳度の高く、チームワークを駆使して作業を行なう必要のあった2つのシミュレータトレーニングでの作業に注目し、その詳細な分析を行なった。分析の中では、特に作業者間で交換される対話データに注目し、それらを全てテキストに書き起こす作業を行ない、そこに見られる情報のフローのパターンの獲得を目的として、対話分析を行なった。こうした分析から、交換される情報の分類と頻度、それぞれの船員の役割、動的な作業量の変化にチームとして対応する仕組み、といった協同の仕組みが明らかになった。また、こうした協同の分析を行なうための環境についての整備も行い、ビデオや音声を必要に応じて、迅速に取り出すことの可能な環境を、ビデオや音声の同期と時間枠に対するアノテーシヨン機能によって実現し、分析作業の大幅な効率化を実現した。また、ブリッジにおける対話と協同作業を、より客観性を持って把握するために、確率モデルを用いてそれらのモデル化を行い、実証を通して、いくつかの改善の余地はあるものの、これらを正しく表現し、また、拡張性や柔軟性に富んだモデルであることがわかった。このような一連の分析は、ブリッジにおける協同を科学的な合理性のもとに捉えるための協同の中範囲理論の構築を目的とするものであり、こうして得られる協同や作業の理論に従って、実際にブリッジの協同の定量的な把握が可能となり、それに基づいて協同の改善が可能となり、今後の動的ワークフローシステムの設計を行なうための基本的な枠組みの整理を行なう事ができたと言える。
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