2002 Fiscal Year Annual Research Report
次世代銅生産技術としての鉱石中銅・金・銀の同時リーチング
Project/Area Number |
14750731
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50250486)
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Keywords | 黄銅鉱 / 金 / 銀 / 銅 / リーチング / チオ硫酸 / アンモニア / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
従来の銅鉱石のリーチングでは,鉱石に含まれる金・銀は溶出されず,その回収法が確立していない。本研究では,チオ硫酸イオンとアンモニウムを含む浸出液を用いて銅(II)アンミン錯体を酸化剤として鉱石中の銅・金・銀を同時に酸化浸出する方法(チオ硫酸アンモニウム浸出)を検討した。対象鉱物としては最も一般的な銅供給源である黄銅鉱を選んだ。 硫酸溶液中での黄銅鉱浸出に関する既往の研究は,液組成や電位が黄銅鉱のアノード溶解速度に顕著な影響を及ぼすと報告している。そこで,所定濃度の銅(II)イオン,チオ硫酸イオンを含むアンモニア緩衝溶液中で黄銅鉱電極のアノード分極測定を行い,アノード溶解反応の液組成依存性,電位依存性を調べた。銅(II)イオンとチオ硫酸イオンの双方が存在しない場合やいずれか一方しか存在しない場合,アノード電流は電位の上昇に伴って単調に増加したが,両イオンが共存する場合にはアノード分極線図に活性態-不働態挙動が現われた。すなわち,電流は電位の上昇に伴って増加する(活性態域)が,ある電位に達すると急激に減少し,それ以降は電位にあまり依存しなくなる(不働態域)。低電位の活性態域におけるアノード電流は,銅(II)イオンとチオ硫酸イオンが共存しない場合に比べて著しく大きかった。このことから,黄銅鉱のチオ硫酸アンモニウム浸出においては,電位を適切に制御することにより高い浸出効率が得られるものと推察される。 金の溶解に及ぼす諸要因の影響について浸出実験と電気化学測定により検討した。種々の組成の溶液を用いて行った浸出実験の結果と金電極のサイクリックボルタンメトリーを比較したところ,チオ硫酸イオンとアンモニアが共存する場合には,これらのイオンの協同作用により金アノード溶解反応が促進され,金溶出が高効率で進むことが明らかとなった。
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