2002 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系における窒素動態-無機態窒素と有機態窒素の樹木の窒素吸収への寄与
Project/Area Number |
14760035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中原 治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10253519)
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Keywords | 窒素吸収 / 森林生態系 |
Research Abstract |
モニタリング機器の設置を5月に行い、6月より観測を始めた。観測地点は、こまめなサンプリングが必要なことから札幌市都市環境林の白旗山に限定した。これは、以下に列挙する予想外の障害が多かったことが理由である。なお、白旗山は、土壌が淡色黒ボク土で植生は50-60年生のカラマツが主体である。開始早々に大きな問題が持ち上がった。当初の予定では根切りプロットをモニタリングの主体に据える予定であったが、数反復程度ではCVが100%をはるかに上回ることがデータが蓄積する過程で明らかとなってきた。そこで、土壌溶液の定期的な採取を行い、このデータと水収支の積分を使って養分吸収量を計算するように軌道修正を余儀なくされた。水収支の測定は、ペンマン法により蒸発散量を見積もる方法と河川への流出率から見積もる方法の2つを同時平行で進めている。さらに、この手法を使う場合には、全体としての窒素収支を押さえる事が必須となるため、林内雨と河川NO3濃度を測定している。その過程で林内雨の窒素フラックスの空間分布に今までの常識的なアイディアと全く相容れない規則性があることが明らかとなった(結果は投稿中)。来年度の6月後半には窒素吸収量を見積もるための、1年分のデータが揃う予定である。また、1993年度に包括的な毎木調査を行っているため、来年度に同様の調査を行い、地上部現存量と10年間の樹木の生長量を求め、さらに精確な吸収量の見積もりを行う予定である。
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