2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物に吸収されたカドミウムの器官間における移行抑制機構に関する分子機構の解析
Project/Area Number |
14760040
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
新町 文絵 日本大学短期大学部, 助手 (20341935)
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Keywords | カドミウム / 器官特異的集積 / 移行抑制 / ミゾソバ / 蛍光プローブ / 細胞壁 / ニンヒドリン陽性物質 |
Research Abstract |
有害な重金属を含有する土壌で栽培しても可食部である葉、果実あるいは子実へ重金属が移行しない作物があれば、重金属を含有する農用地でも安全な食料を生産が可能になると考え、Cd移行性に特徴のある植物を選抜し、その移行抑制機構の解析を行っている。 これまでに体内Cd濃度が特異的な分布をするいくつかの植物を明らかにしており、中でもミゾソバは茎に高濃度のCdを集積し、葉への移行が少ない植物であることからCd処理した植物の茎を樹脂固定し、Cd蛍光プローブでその集積部位を調べたところ、導管およびその周辺細胞の細胞壁にCdが集積していることを明らかにした。さらにSEM-EPMAによる解析からCdは節および葉柄付根部分に多く集積しており、そのため葉への移行が少ないと思われる。今後は、細胞壁の分画やSEM-EPMA、蛍光X線解析により、さらに詳細な集積部位を特定する予定である。また、フダンソウは根のCd含有率が高いことから地上部へのCd移行抑制機構の存在が推測されたが、これはCd処理に伴って根の生理活性が著しく低下するためにCdが根から茎へ移行出来ないことも明らかにした。 一方、茎に高濃度のCdを集積するミゾソバは同じにCd無害化機構も有していると考え、Cd結合タンパク質(ペプチド)生成の有無をゲルろ過クロマトグラフィーにより調べたがこれらの生成は認められず、ミゾソバはこれとは別な耐性機構を有することが示唆された。そこで導管液をTLCで展開しニンヒドリン反応をみたところ、Cd処理で増大、誘導される複数のスポットを確認した。ニンヒドリン陽性物質は導管液だけでなく茎搾汁液中にも多量に存在し、Cd処理に伴って大量に生成されており、これが無害化に関与しているものと推察している。今後H^+-NMR、LC/MS/MS等の機器分析手法によりこれらの構造を明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fumie Shinmachi: "A Stem Specific Cadmium Accumulation Mechanism in Cadmium Tolerant Plant Polygonum thunbergii H.Gross"Soil Science and Plant Nutrition. 49巻(in press). (2003)
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[Publications] Fumie Shinmachi: "Translocation and Accumulation of Cadmium in Cadmium Tolerant Polygonum thunbergii H.Gross"Soil Science and Plant Nutrition. 49巻(in press). (2003)