2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤排出ポンプによる薬剤認識・排出メカニズムの分子解析
Project/Area Number |
14760049
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
平賀 和三 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (50252549)
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Keywords | 多剤耐性 / 薬剤排出ポンプ / 薬剤認識 / pdr5 / 阻害物質 |
Research Abstract |
薬剤排出ポンプは、ガンの多剤耐性に関与し、その治療を困難にしている。その特異的阻害物質(多剤耐性克服物質)は、ガンに治療に有効と考えられる。私は、酵母をモデルとして取得に成功した微生物由来の多剤耐性克服物質を精製し、その構造・機能解析を行なった。 多剤耐性克服物質を精製し、新規と予想される物質、KPI(Kitasatospora Pdr5 inhibitor)の構造を明らかにした(投稿準備中)。本物質は、興味深いことに多数の水酸基よりなる親水性に富んだ部分と、トリエン構造よりなる疎水性の部分よりなることが明らかとなった。阻害活性に必須な部分はトリエンの逆側に位置しており、酸に不安定であった。本物質の分子量は1193であり、既報の酵母Pdr5阻害物質であるFK506とは明らかに異なっていた。本物質は新規物質であると予想される。本物質は、シクロヘキシミドやセルレニンの様なPdr5によって排出される薬剤と併用した場合にのみ酵母の増殖を阻害した。一方、酵母Snq2の機能は阻害しなかったことから、Pdr5特異的に作用していると推察された。本物質は、Pdr5によって排出されることが明らかとなっている蛍光物質ローダミンの細胞外排出を阻害し、細胞内への蓄積を認めた。そこで、本物質がpdr5遺伝子の発現を阻害しているか、機能を阻害しているか否かを精査するため、pdr5遺伝子のプロモータにβガラクトシダーゼ遺伝子を連結したレポーター遺伝子を用い、精製した阻害剤を添加した結果、発現には影響しないことが明らかとなった。また、ウエスタンブロッティングによっても発現には影響しないことが明らかとなった。従って、新規な本阻害物質は、Pdr5の薬物排出機能を阻害していることが明らかとなった。
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