2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖ヌクレオチド代謝異常が引き起こす細胞の悪性化機構の解析
Project/Area Number |
14760056
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤田 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10285281)
|
Keywords | マウス繊維芽細胞 / UDP-sugar hydrolase / 糖ヌクレオチド分解酵素 / 細胞間接着 / balb / c 3T3 |
Research Abstract |
マウス繊維芽細胞balb/c3T3(3T3)株は接着系の培養細胞で、コンフルエントまで増殖すると、増碑を停止する。一方、本細胞株をSV40ウィルスで形質転換した3T3-SV株はマウスの皮膚へ移植すると腫瘍を形成する悪性細胞である。本3T3SV細胞はin vitro培養系においても細胞間の接着が弱く、コンフルエントに達しても増殖を続ける。加えて、3T3-SVの膜画分においては細胞表層の糖鎖前駆体である糖ヌクレオチドを分解する酵素(UDP-sugar hydrolase,以下USH)が異常亢進している。本研究ではUSHの異常亢進が細胞表層における多糖の性質および細胞の増殖に及ぼす影響を明らかにしようとしている。まず、USHの異常亢進がコンフルエントに達した3T3の増殖に対してどのような影響を与えているかどうかについて調べた。大腸菌K-12株より抽出したゲノムDNAよりPCR法によってUSHのORFを増幅した。ドキシサイクリン(DOX)制御下でUSH発現調節可能なプラスミドを作製した。次いで、これにより形質導入を行い、3ヶ月間培養を続け、クローンの安定化を確認した後、薬剤耐性を指標として本発現系を有する株を約200株選択した。コンフレントの状態の細胞にDOX存在下で3週間処理したところ、膜画分にUSHの異常亢進が見られる株が数株取得できた。さらに、USHの異常亢進が見られる株についてFACS解析により増殖特性を調べた。細胞がコンフルエントに達した後、DOXの有無で細胞を1週間処理したところ、興味深いことに未処理に比べてDOX処理した細胞にG1期の細胞の比率が上昇していることが分かった。
|