2002 Fiscal Year Annual Research Report
未開拓微生物資源、特に放線菌の機能開発と利用法に関する研究
Project/Area Number |
14760065
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
植木 雅志 理化学研究所, 抗生物質研究室, 研究員 (90312264)
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Keywords | 土壌放線菌 / 微生物資源 / メバロン酸 / アミノ酸アナログ / Polyketide / Terpene |
Research Abstract |
新たな二次代謝産物を探索する上で、未開拓微生物資源の利用法開発は非常に大きな関門となっている。その中でも、放線菌の二次代謝産物の多様性は、その他の細菌や糸状菌などには見られないものであり、その多様な能力をいかに開発・利用するかが新規天然物開発における重要な鍵をになっている。放線菌は我々が今まで認識していた以上に多様な二次代謝産物の生合成遺伝子群を有していることが最近になって明らかになってきている。従って、まず生合成遺伝子群の有無や二次代謝産物の供給系(一次代謝異常)の有無を指標として、放線菌の選別を行った。 放線菌の二次代謝産物の大部分は、酢酸やプロピオン酸を出発物質としてPolyketide系生合成経路で生合成される。出発物質は同じでも、カビなどに多く見られるTerpene系化合物は放線菌の代謝産物にわずかに見いだされるのみである。それらの代謝産物は、メバロン酸経路に関連していることが知られていることから、メバロン酸経路の有無をPCRで検出する系を確立し、土壌放線菌の選別を行った。その結果、200株から3株を見いだし、いずれの株もトマトペーストを含む培地において特有の代謝産物を生産することを見いだした。現在、それらの代謝産物の精製を行っている。 二次代謝産物の生合成経路を有していても、その出発物質(一次代謝経路の中間物質)の供給が多量の供給が無ければ、その代謝産物を生合成することは無い。そこで、アミノ酸の生合成経路においてフィードバック抑制が働く種々のアミノ酸アナログを培地に添加して、土壌より放線菌の分離を行った。その結果、20株を取得することができ、そのうち7株で抗真菌性物質の生産が認められた。1株の生産物は、Cycloheximideであったが、分離株の30%程度に活性物質の生産が見いだされたことから、放線菌分離手法としてアミノ酸アナログが有用であることが示された。現在、他の生産物の精製も進めている。
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[Publications] J.Nakazawa, J.Yajima, T.Usui, M.Ueki, M.Imoto, Y.-Y.Toyoshima, H.Osada: "A novel action of terpendole E on the motor activity of mitotic kinasin Eg5"Chemistry and Biology. (in press). (2003)
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[Publications] H.-R.Ko, H.Kakeya, A.Yoshida, R.Onose, M.Ueki, M.Muroi, A.Takatsuki, H.Matsuzaki, H.Osada: "PC-766B and PC-766B, 16-membered macrolide angiogenesis inhibitors produced by Nocardia sp. RK97-56"J. Microbiol. Biotechnol.. (in press). (2003)
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[Publications] K.Ueda, T/Usui, H.Nakayama, M.Ueki, K.Takio, M.Ubukata, H.Osada: "4-Isoavenaciolide covalently binds and inhibits VHR, a dual-specific phosphatase"FEBS Letters. 525. 48-52 (2002)
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[Publications] J.K.Prasain, M.Ueki, P.Stefanowicz, H.Osada: "Rapid screening and identification of cytochalasins by electronspray tandem mass spectrometry"Journal of Mass Spectrometry. 37. 283-291 (2002)