2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアブシジン酸分解系に関与するチトクロムP450遺伝子の単離および機能解析
Project/Area Number |
14760075
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅澤 泰史 独立行政法人理化学研究所, 植物分子生物学研究室, 協力研究員 (70342756)
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Keywords | シロイヌナズナ / チトクロムP450 / ABA 8'-hydroxylase / アブシジン酸 / ABA / 植物 / マイクロアレイ / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)は植物ホルモンの一つであり、植物の環境ストレス応答や種子の形成過程において重要な生理的機能を有する。植物体内のABA量は、主に生合成と分解のバランスによって決定されている。本研究では1、ABA分解系の鍵酵素であるABA 8'-hydroxylase遺伝子を単離すること、および2、単離したABA 8'-hydroxylase遺伝子を用いて、植物体内のABA量を人為的に制御する、という二つの目標を設定した。 ABA 8'-hydroxylaseの実体はチトクロムP450であること、その酵素活性がABA処理によって増加し、その増加は新規な遺伝子発現に由来することが報告されていた。これらの知見に基づき、ABA処理によって誘導されるP450遺伝子をシロイヌナズナ完全長cDNAマイクロアレイを用いて探索し、9つの候補遺伝子を得た。ただし、これらの遺伝子を解析している折、他の研究グループによってCYP707A1〜A4がABA 8'-hydroxylaseであることが報告された。 我々の候補遺伝子の中にもCYP707A3が含まれており、機能解析のためにすでに過剰発現植物等を作製していた。これらの材料は、上記2、の目的を達成するためにおいて、またABA 8'-hydroxylaseの植物レベルにおける働きを理解する上でも依然有用である。現在までに、CYP707A3過剰発現植物では、発芽時におけるABA感受性が低下していること、および乾燥耐性が大幅に低下していることが明らかとなった。これらの表現型は、CYP707A3の過剰発現によってABAの分解能力が高まった結果であると考えられる。したがって、2、の目的は大筋において達成された。
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