2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桝田 哲哉 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80311744)
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Keywords | sweet / lysozyme / chemical modification / Pichia pastoris / lysine |
Research Abstract |
リゾチームは等電点11の塩基性タンパク質であり、分子内にリジン残基6残基、アルギニン残基11残基もつ。タンパク質の塩基性度の違いが味刺激を誘発することを確認した。そこで化学修飾法によりリジン残基がリゾチームの甘味発現に寄与しているかを塩基性度の観点から検討した。リジンをホモアルギニンに変換するグアニジル化ではリゾチームの甘味活性にほとんど影響を与えなかったが、リジンのアミノ基をブロックするアセチル化を行うと修飾度合いが増加するにつれ甘味閾値が増大した。より詳細にリゾチームの塩基性度と甘味の関連を検討すべく、リジン残基をpyridoxal-5'-リン酸(PLP)にて負電荷を導入した分子種を作成し、SP陽イオン交換カラムを用いてPLPが3残基、2残基、1残基修飾されたリゾチームを分取し、各々を官能検査に供した。その結果、リゾチームの甘味閾値はリジン残基のPLPの修飾度合いが高まるにつれ増加した。この傾向はアセチル化の場合より顕著であった。リゾチームの甘味発現はリジン残基側鎖の塩基性度と相関があることが示唆された。リゾチームの甘味閾値10μMであるため甘味特性評価には多くのサンプル量が必要である。高分泌発現で知られているメタノール資化性酵母Pichia pastorisを用いたリゾチームの発現を試みた。温度、溶存酸素,pH,消泡ユニット,酸素発生装置で制御されたジャーファーメンターを用いて培養条件の検討を行い、培地上清1リッターあたり300mgのリゾチームを発現させることに成功した。また塩基性アミノ酸であるリジン、アルギニン残基に対して様々な変異体を取得することを試みた。既に取得しているリゾチーム遺伝子を鋳型にし、アルギニンをアラニンに置換した変異体を、またリジン残基をアルギニン残基に置換した変異体をメタノール資化性酵母Pichia pastorisにて発現を試み培地中に変異タンパク質の発現を確認した。現在これら変異体の甘味特性評価を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Masuda: "Sweetness and Enzymatic Activity of Lysozyme"Journal Agricultural and Food Chemistry. 49. 4937 (2001)
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[Publications] T.Masuda: "Taste of Protein"American Oil Chemist's Society and Publishes. (In press). (2003)