2002 Fiscal Year Annual Research Report
ABCA1を介したコレステロール搬出促進による動脈硬化の予防と改善
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14760084
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 助手 (10336109)
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Keywords | ABCA1 / コレステロール搬出 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
コレステロール搬出促進成分の検索系構築のために、ヒトABCA1及びCaveolinのcDNAクローニングとヒトABCA1及びCaveolinのゲノムプロモーター領域のクローニングを行った。クローニングされたcDNAおよびゲノムプロモーター領域は、その後の利用を考えて、それぞれ発現系ベクターpcDNA3およびルシフェラーゼ遺伝子含有pGL3ベクターに導入した。これらのcDNAおよびゲノムプロモーター領域取得プラスミドを用いて、コレステロール搬出系に影響を与える食事成分の検索系の構築を試みた。検索系に用いる細胞として、ヒト繊維芽細胞、ヒト動脈由来平滑筋細胞およびヒト動脈由来内皮細胞を候補として検討した。その結果、ヒト動脈由来内皮細胞はもともとのABCA1発現量が非常に低く、食事成分によるABCA1mRNA発現量への影響を測定するのが困難であり、ヒト繊維芽細胞はルシフェラーゼ遺伝子含有pGL3ベクターの細胞への導入効率が非常に低かったため、食事成分によるABCA1及びCaveolin遺伝子の転写活性への影響を検討する系としての構築が困難であると判断した。また遺伝子の導入法としては、カルシウム沈澱法での効率は非常に低かったが、リポフェクション法を用いることで高い遺伝子導入効率が得られた。よって、ヒト動脈由来平滑筋細胞を用いたコレステロール搬出促進成分検索系が確立された。 この評価系を用いて、数種類の酸化コレステロールが細胞内余剰コレステロールの搬出系に及ぼす作用について検討を行った。培地中のアクセプターであるApoA-Iへの細胞中[^3H]コレステロールの移行を指標として評価した結果、コレステロールの一次代謝産物である7α-ハイドロキシコレステロールはコレステロール搬出を抑制し、24-ハイドロキシコレステロールは逆にコレステロール搬出を促進することが示された。これらの作用と細胞中のABCA1及びCaveolinのmRNA発現量と転写活性に与える影響との関係については現在測定中である。
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