2004 Fiscal Year Annual Research Report
多局在性GAPDHの細胞内輸送機構と新規機能の解明
Project/Area Number |
14760085
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 亮一 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (00244666)
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Keywords | GAPDH / アンドロゲン受容体 / RanBPM / 転写活性 / 細胞伸展 / 細胞外分泌 |
Research Abstract |
グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は細胞質において解糖系酵素群のひとつとして機能する以外に、膜や顆粒画分そして核においてエンドサイトーシス、小胞輸送、微小管重合、RNA輸送、DNA修復や複製、アポトーシス、神経変性疾患に関与する多機能タンパク質としても機能する。さらなる新規機能に関する情報を得るために、GAPDHと細胞内で相互作用するタンパク質を酵母Two-hybrid法により検索したところ、Ran結合タンパク質M(RanBPM)を候補タンパク質として見いだした。酵母in vivoアッセイ、大腸菌で作製した組換えタンパク質を用いたin vitroアッセイ、さらに細胞内で組換え体タンパク質を発現させたin vivoアッセイにより、RanBPMとGAPDHが細胞内で結合することを証明した。RanBPMはアンドロゲン受容体(AR)の転写活性を促進し、GAPDHはARと結合することが報告されているので、ARの転写活性に及ぼすGAPDHの効果を検討した。GAPDHはARの転写活性を促進し、その転写活性はRanBPMの存在下で相乗的に促進することが判明した。現在これらのタンパク質間での結合領域を同定している。さらにGAPDHの新規局在として細胞外におけるGAPDHの存在を検討し、GAPDHを培養細胞の培養上澄やラットの血清中で検出した。培地中にGAPDHを添加したCOS7細胞、HepG2細胞、HEK293細胞はディッシュ一面に広がらず、細胞塊を形成したが、細胞増殖速度に影響がなかったことから、細胞外GAPDHは、細胞の伸展を抑制することが判明した。この抑制はGAPDHの細胞膜表面への結合を介して起こっており、解糖系酵素としての活性中心である151番目のシステインをセリンに変異させた変異体は細胞膜表面に結合せず、また細胞の伸展を抑制しなかった。これらの結果より、151番目のシステインは細胞外GAPDHによる細胞伸展抑制に重要な役割を持つことが判明した。総括すると本研究により、GAPDHを新たなる局在と2つの異なる新規機能を証明した。
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Research Products
(5 results)