2002 Fiscal Year Annual Research Report
海岸マツ林生態系の環境修復をめざした樹木共生菌の探索とその機能解析
Project/Area Number |
14760097
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30324552)
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Keywords | 海岸林 / クロマツ / 外生菌根菌 / 子実体 / 塩化ナトリウム |
Research Abstract |
海岸マツ林生態系の環境修復をめざした樹木共生菌の探索とその機能解析を遂行するため、本年度は以下の主に2項目について調査・実験を行った。 1.海岸クロマツ林における外生菌根菌相を明らかにするための一環として、それらが形成する子実体の発生調査を定期的に行った。また、本研究終了時に海岸部に生息する菌根菌相の特徴を見出す目的で、内陸部に生育するクロマツ林においても子実体の発生調査を行った。その結果、海岸部、内陸部においてそれぞれ合計6、18種の外生菌根性子実体の発生が認められた。いずれの調査地も外生菌根を形成する樹種はクロマツのみであったことから、発生したこれらの菌はクロマツと菌根共生しているものと考えられた。 2.海岸付近の塩ストレスの高い地域に適したマツ実生苗を作出するための基礎データを得るため、異なる塩化ナトリウム濃度(0mM、20mM、50mM、100mM、200mM区)がクロマツおよび外生菌根菌4種6菌株(コツブタケ3菌株(三重県産2菌株、福島県産1菌株)、ショウロ、ヌメリイグチ、Cenococcum geophilumは各1菌株)の生育に与える影響を調査した。実生苗の地上部重、地下部重、T/R率は、いずれの処理区間でも有意な差は認められなかったが、50mM区の根端数は、0mM区のものに比べて有意に減少した。このことから、NaClがクロマツの生育に及ぼす影響はまず根端形成にあらわれるものと推察された。また、NaCl濃度の上昇に伴なってコツブタケやショウロの生育は増加頃向を示したが、ヌメリイグチやCenococcum geophilumは減少傾向を示した。このことから、前者のグループは海岸地域におけるクロマツに対する接種菌として有効であると考えられた。
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