2002 Fiscal Year Annual Research Report
近畿に野生化するアオモジの種子散布、発芽、実生の成長特性からみた個体群動態の解明
Project/Area Number |
14760107
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (20264814)
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Keywords | アオモジ / 移入種 / 分布拡大 / 種子散布 / 埋土種子 / 実生 / 光環境 / 個体群動態 |
Research Abstract |
アオモジ(クスノキ科ハマビワ属)の分布拡大傾向を明らかにするため、文献および標本、インターネットでの情報収集、GPSでの現地調査から自生地外の分布域を抽出した。その結果、徳島、兵庫、大阪、奈良、京都、滋賀、静岡県から野生化が確認され、東海から西の日本各地で野生化しており、国内移入種として生態系を攪乱する潜在的な可能性が明らかとなった大阪府泉佐野市、奈良県平群町で、ヘリコプターからの地表面のデジタルビデオ撮影、画像解析を行い、過去の報告よりもアオモジの分布域が拡大していることを確認した。植栽履歴の明らかな京都市の京都大学上賀茂演習林では、48年間に3本の植栽個体から開花59個体に個体数が増加し、アオモジはパッチ状に分布、9.2km/年以上の速度で分布拡大していることが明らかとなった。京都市上賀茂試験地での、母樹付近の種子散布、埋土種子調査から、種子散布密度は小さい、または検出不可能であったものの、埋土種子は確認された。大阪府泉佐野市の伐採跡地、林内での実生密度、埋土種子密度の調査から、天空率の大きな場所に有意に多くの実生が出現したが、埋土種子密度はいずれの場所でも同程度に存在した。大阪府泉佐野市の伐採跡地における実生の成長速度は、先駆種で成長の速いアカメガシワよりも樹高と根元直径で大きかった。またアオモジ伐採後には、1年で平均2.7mの萌芽枝が形成され、萌芽再生能力が大きなことも明らかとなった。以上の結果から、アオモジは、鳥によって種子が散布され、暗い林内で埋土種子を形成し、ギャップ形成などによる光環境の改善で発芽し、成長が速いためギャップ内で優占種となり、攪乱環境が頻繁に形成される場所では、今後もアオモジの分布が拡大する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)