2003 Fiscal Year Annual Research Report
免疫法によるグアイアシル及びシリンギルリグニンの選択的標識
Project/Area Number |
14760113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273489)
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Keywords | リグニン / 樹木細胞壁 / 免疫標識法 / 抗体 / 競合阻害ELISA / beta-O-4型結合 / beta-5型結合 / 木質化 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、リグニン中のbeta-O-4型及びbeta-5型結合に対する特異抗体の作製を目指し、抗原の作製法に関して工夫を加えた。beta-O-4型結合を含むグアイアシルグリセロールーbetaーグアイアシルエーテル及びbeta-5型結合を含むデヒドロジコニフェリルアルコールをp-アミノ馬尿酸を介してジアゾカップリングによりBSAに結合させ、複合体を調製した。反応条件を再検討し、モデル化合物の結合量の少ない複合体を調製し、マウスに腹腔内投与して抗血清を得た。抗体はアフィニティー精製により馬尿酸-BSAに対する抗体を除去して精製し、競合阻害ELISAにより特異性を検討した。また、グアイアシル、シリンギル核の識別を目指し、各構成単位を含むC6-C3及びC6-C1化合物にタンパク質を結合させて複合体を調製し、同様に抗体の作製、特異性の検討を行った。 抗デヒドロジコニフェリルアルコール抗体、抗グアイアシルグリセロールーbetaーグアイアシルエーテル抗体はいずれも抗原として用いたモデル化合物に反応し、昨年度作製した抗体に比べてそれぞれの結合に対して特異性が高いことが明らかになった。樹木分化中木部を用いた免疫標識の結果、両抗体とも、リグニン中のすべてのbeta-5及びbeta-O-4型結合を認識できるわけではないものの、他の顕微鏡法では検出不可能なごく初期に堆積するリグニンの存在を可視化できる可能性が示された。 C6-C3及びC6-C1化合物を用いた抗体の作製では、複合体調製に用いた化合物部分に反応する抗体の生成が確認された。反応性を調べた結果、これらの抗体はグアイアシル、シリンギル単位を識別することは困難であったが、リグニン中の遊離のフェノール性水酸基を含む部分を認識していると考えられ、樹木細胞壁においてその分布を可視化するのに有効であることが示された。
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