2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 大輔 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293908)
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Keywords | セルロース / 繊維 / 分散系 / レオロジー / 非ニュートン流動 / べき乗則 / ネットワーク構造 / 凝集 |
Research Abstract |
種々のセルロース繊維からなる分散系について、繊維の形状および濃度が系のレオロジー特性に与える影響を検討した。回転型レオメーターを用いて繊維分散系の定常流動測定を行ったところ、非常に希薄な系でさえ非ニュートン流動を示した。系がニュートン流動から非ニュートン流動へ移行するときの濃度を臨界濃度と呼ぶことにすると、この濃度以上では系は無限大長さの繊維ネットワークを形成し得ると考えられる。本実験から求められる臨界濃度は、繊維の軸比から理論的に計算された値とよく一致した。 また、分散系の動的弾性率測定においては、低濃度でも測定角周波数に依存しない平坦部を示した。濃度が高くなるにつれて動的弾性率は増大し、弾性率と濃度との間にはべき乗則が成立することがわかった。さらに、実験によって得られたべきの値は2.25であり、これは高分子ゲルについての理論値と一致する。このことは高分子のオーダーからセルロース微結晶、さらにはパルプ繊維程度の大きさにいたるまで同じ機構で弾性が発現している可能性を示唆しており、極めて興味深い。また、べき乗則の指数前因子は、繊維の軸比の2乗に比例することが見出された。このことは、この因子が繊維個々の特性に依存していることを示す。 さらに、流動場におけるパルプ分散系の凝集体形成機構と流動特性の関連について検討した。ガラス製の平行円板を取り付けたレオメーターを用い、高速度CCDカメラによって繊維分散系中の凝集体の構造変化を観察するとともに流動特性を測定した。ひずみ速度が大きくなると系は凝集体を形成したが、さらにひずみ速度が大きくなると、これらの凝集体が消失して均一な分散状態になった。高速度撮影で得られた画像を2次元フーリエ変換し、Guinierの式より凝集体の回転半径を求めることを試みた。その結果、凝集体の回転半径は、凝集体の画像を二値化する際の閾値の目安になり得ることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Chen Bo, Tatsumi Daisuke, Matsumoto Takayoshi: "Floc structure and flow properties of pulp fiber suspensions"Journal of the Society of Rheology, Japan. 30(1). 19-25 (2002)
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[Publications] Tatsumi Daisuke, Ishioka Satoshi, Matsumoto Takayoshi: "Effect of fiber concentration and axial ratio on the rheological properties of cellulose fiber suspensions"Journal of the Society of Rheology, Japan. 30(1). 27-32 (2002)