2003 Fiscal Year Annual Research Report
励起蛍光法による干潟における底生微小藻類の年間総基礎生産力の測定
Project/Area Number |
14760124
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
後藤 直成 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (40336722)
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Keywords | 励起蛍光法 / 光合成速度 / 底生微小藻類 / 干潟 / PAM |
Research Abstract |
Pulse Amplification Modulation(PAM)式蛍光光度計を用いて,干潟における底生微小藻類の光合成速度(単位クロロフィルaあたりの炭素固定速度)を推定した.本年度は,PAM式蛍光光度計による光合成速度の推定精度をより高めるために,相対的電子伝達速度(rel.ETR)に底生微小藻類の光吸収係数(a^*:m^2mg chl.a^<-1>,本研究では単離した底生珪藻3種の平均値0.011m^2mg chl.a^<-1>を用いた)を乗じることにより電子伝達速度[ETR=PAR×F_V/F_M×a^*PAR:光合成有効放射,Fv/Fm:光合成系IIの最大量子収率]を算出した.上記の方法で得られたETRと^<14>Cトレーサー法ならびに酸素法で測定した底生微少藻類の光合成速度(光合成-光曲線:0〜1850μEm^<-2>s^<-1>)を一次の関数として平均の係数cを求め,ETRを炭素固定速度に変換した(炭素固定速度=c×ETR).その結果,砂質干潟(愛知県一色干潟)と泥質干潟(名古屋市藤前干潟)の測定(2003年5月から同年12月)から得られた炭素換算係数cの変動範囲は,空間的にも季節的にも,ある一定の範囲内に収まっており,それぞれ,0.90〜1.83(平均1.41±0.32,n=52),と0.94〜1.44(平均1.23±0.29,n=52)となった.つまり,干潟における底生微小藻類の光合成速度は,PAM式蛍光光度計から得られるrel.ETRと底生微小藻類の光吸収係数および炭素変換係数の適当な概算値を用いることにより,高い精度での測定が可能であると考えられる.ただし,PAM式蛍光光度計は,底泥表層50〜100μmまでの底生微小藻類の活性しか評価できないため,潮汐周期にともなう底生微小藻類の鉛直移動(0〜数cm)を考慮に入れた日生産量および年生産量の推定には,励起光をある長さに渡って射出可能な針状プローブ等の開発が不可欠であると考えられる.
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