2003 Fiscal Year Annual Research Report
無極性ガスを利用した熱帯果実および花卉の鮮度保持―低輸送コスト化の試み―
Project/Area Number |
14760165
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松嶋 卯月 琉球大学, 農学部, 助手 (70315464)
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Keywords | 無極性ガス / キセノン / 鮮度保持 / 中性子ラジオグラフィ / 低コスト化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,無極性ガスによる鮮度保持法を熱帯果実および花卉に応用することである.交付期間中(14年度-16年度)に特に,1.温度ストレスの軽減効果,2.無極性ガスが生体膜の変化に与える影響,3.低コスト化実現のための基礎調査,の3項目を検討する. 2年次として,特に2.および3.について研究を行い次の成果を得た. 1.中性子ラジオグラフィは,植物体内の水分分布を高分解能で可視化する方法としてもつとも有効な方法の一つである.本研究では,無極性ガス処理を行った植物体における水分移動を観察するために,冷中性子および極冷中性子ラジオグラフィを用いる.まず,本方法を用いた植物体の水分分布の定量分析について検討を行った.その結果,中性子の散乱による影響で水分分布の絶対定量は困難であるが,水分分布の変化を相対値として定量可能であることが明らかになった.すなわち,植物体における水分変化を観察することで,無極性ガスが生体膜の変化に与える影響を間接的にとらえることが可能である.そこで,試料としてカイワレダイコンを用い無極性ガス処理区および対照区における水分分布の時間的変化を観察した.現在のところ両者に顕著な違いは確認されていないが,試料を封入する圧力容器の漏れが懸念されており,今後のさらなる検討が必要である. 2.キセノンおよびクリプトン等の低圧で構造化が起こる無極性ガスは現在のところ非常に高価である.本方法が低コスト化に寄与するところとしては,希少な遺伝的資源等を長期的に保存する分野であると考えられる.現在,一般的に保存が困難であるとされるイネ科植物の花粉の長期保存に関して検討を行っている.
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Research Products
(1 results)