2004 Fiscal Year Annual Research Report
開放系温暖化実験法開発のための群落微気象モデリングと数値流体力学実験
Project/Area Number |
14760169
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
吉本 真由美 独立行政法人農業環境技術研究所, 地球環境部, 主任研究官 (40343826)
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Keywords | 温暖化 / 開放系実験 / 昇温手法 / FACE / 群落微気象 / 数値実験 / 水田生態系 / アーティファクト |
Research Abstract |
1 昇温手法の数値実験方法 前年度までに開発した水田生態系の群落微気象モデルを用いて,赤外線ランプ・放熱管・風よけの3つの昇温手法における昇温効果と環境改変の数値実験を行った。ただし、これらは単独では地温を十分昇温できなかったことから,すべて地中には温床線を付加して計算を行った。まず将来予測される温暖化条件(全体の温度が2℃上昇)での群落微気象を計算し,それと各昇温手法の数値実験結果との差を,手法間で比較した。 2 異なる気象条件下での数値実験 赤外線ランプでは,群落上部で過大・下部で過小な葉温上昇を示し,植物体から昇温するため常に気温の上昇が不十分であった。特に弱風で湿潤な気象条件では,葉面飽差が過大に増大した。放熱管は,群落上部に設置するほど鉛直に均一な昇温効果が認められ,理想的な葉温分布が得られた。葉温より気温が先に昇温し,葉面飽差の増大は赤外線ランプより小さかった。風よけでは,外が強風であるほど防風による昇温効果が顕著である一方,低日射条件では昇温自体が認められず,温度制御は不可能であった。夜間は,赤外線ランプ・放熱管共に昇温に要する熱量が小さいため,理想的な葉面分布が得られたが,葉-気温差、葉面飽差へのアーティファクトは,放熱管の方がやや小さかった。風よけでは夜間には昇温自体が認められなかった。 3 開放系温暖化実験手法についての指針の提示 放熱管と温床線埋設を組み合わせた昇温手法が,葉温分布の均一さと葉面飽差へのアーティファクトの小ささにおいて最適であると結論された。しかし,一般的に放熱管の放熱量には技術上限界があり,熱交換率を向上させるための放熱管の材質や形状の工夫(フィンを付けるなど),あるいは強風時に赤外線ランプに切り替える等の操作が必要であると考えられる。
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Research Products
(6 results)