2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリのラウス肉腫ウィルス抵抗性に関与するDNAメチル化機構の解明
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14760182
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
山下 秀次 九州東海大学, 農学部, 講師 (20289630)
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Keywords | ニワトリ / ラウス肉腫ウィルス / ウィルス抵抗性 / 転写調節 / CpGアイランド / DNAメチル化 / 制限酵素 / 遺伝子探索 |
Research Abstract |
本研究では、ラウス肉腫ウィルス(RSV)に対して抵抗性を示すニワトリの2系統(RSV非感受性01系統、腫瘍退行性11系統)について、CGメチル化感受性制限酵素EagIを用いたFluorescence Representational Genomic Profiling(FRGP)法によるゲノムディファレンシャル解析を行い、対照系統(RSV感受性MA系統)とのゲノム差異よりRSV抵抗性・感受性に関して転写調節がなされている候補遺伝子を単離・同定することを目的としている。本年度は、DNA抽出用サンプルの採取と系統間におけるゲノム差異の検索を計画し、次のような実績を挙げた。 1.DNA抽出用サンプル (独)家畜改良センターの協力のもと、3系統それぞれ10羽ずつの肝臓を採取した。また、3系統からそれぞれ5羽ずつを用いてRSV接種試験を行い、接種後2、4、6週間目に末梢血を採取した。さらに、接種後6週間目に全個体の肝臓を採取するとともに、MA系統の腫瘍組織を採取した。 2.系統間ゲノム差異 3系統それぞれ10羽ずつの肝臓ゲノムDNAをEagI消化後、系統ごとに当重量ずつ混和し、二次元展開酵素にHinf Iを用いたFRGP法に供試して各系統のゲノムプロファイルを作成した。その結果、各系統ともに約700スポットが検出され、そのうち79スポットに系統間ゲノム差異が認められた。 3.スポットクローニングおよびサザンブロット解析 変異スポットのうち、01、11系統で検出され、MA系統で検出されなかったスポット59について、クローニング後、塩基配列を決定したところ、92bpを繰り返し単位とする縦列反復配列の一部分であることが明らかとなった。また、スポット59をプローブとしてサザンブロット解析を行ったところ、3系統間で異なるバンドパターンを示したことから、スポット59はRSV抵抗性を示す個体を特定するDNAマーカーと成り得るものと考えられた。さらに、これらのバンドパターンの差異は縦列反復配列中のCGメチル化状態の相違を反映しており、01系統においてメチル化の程度が低いことが明らかとなった。
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