2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しいIκBタンパク質MAILのLPS炎症反応における役割および作用機序の解明
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14760184
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北村 浩 理化学研究所, 免疫ゲノムクス研究チーム, 研究員 (80312403)
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Keywords | MAIL / IκB / NF-κB / 炎症 / Bリンパ球 / マクロファージ / リポ多糖体 / TLR4 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌の膜成分であるLPSは強力な炎症誘導作用を持ち、炎症性ショックの主要な原因となっている。LPSによる細胞反応は主にNF-κBなどの転写調節因子を介して惹起されるが、その活性調節に中心的な役割を果たすのがIκBタンパク質である。研究者は最近、新規のIKBタンパク質であるMAILを同定した。本研究ではin vitroの細胞培養系からノックアウトマウスを用いたin vivoの検討を通じてこのタンパク質の機能やその分子メカニズム、病態における役割を解明することを目的としている。本年度は、組織学的な解析と各種解析ツールの整備をし、以下の成果を得た。 1.MAILに特異的な抗体を作製した。 2.これまでのin situ hybridizationによる検討から、マウスではLPS炎症時にBリンパ球やマクロファージでMAIL mRNAが誘導されることが判明している。そこで1.で得られた抗体を用いてMAILタンパク質の局在を調べたところ、同様の細胞で発現することが判明した。これまでの発現ベクターを用いた実験系ではMAILの核への局在が認められたが、in vivoにおいてはマクロファージのように核に局在する場合と、Bリンパ球のように細胞質に局在する場合があることが明らかになった。 3.種々のマウス培養細胞株を用いて発現解析をしたところ、in vivoの結果同様、LPSに応答して、特にBリンパ球、マクロファージで顕著なMAILの誘導が見られた。また、IL-1やTNFなどのサイトカインの刺激によっても同様の誘導がみられた。 4.マクロファージ細胞株にLPS受容体TLR4の中和抗体を加えると、LPSによるMAILの誘導が抑えられた。またMAIL自身がNF-κB依存性に誘導されることが判明した。以上のことから、LPSによるMAILの誘導にはTLR4→NF-κBが大切であることが判明した。
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Research Products
(1 results)